第四十一話(最終話) 終幕。あるいは「静止した地獄」
魔王城を包んでいた狂騒が、一瞬にして「静寂」へと変わりました。 世界の演算が完全に停止し、すべての存在がその「瞬間」のまま固定されたのです。
俺(全能神)の指先は、ルカの顎を持ち上げた形のまま、半透明のノイズとなって静止しました。 アーステラを再教育していたアレンも、服従の快感に顔を歪ませたルナも、時を止めた彫像のように動かなくなりました。
そこには、もう「物語」はありません。 ただ、全能神(俺)が作り上げた「最高に歪で、最高に幸福な一瞬」が、宇宙の片隅で永久に保存されただけです。
【最終システム・ログ】
全能神(板助): 世界の管理者から、静止した世界の「標本」へと格下げ。意識だけが、プロデューサー様を見つめるレンズとして残っている。
端末ルカ: 主の腕の中で、自我を消去された人形のまま、永遠の安らぎ(フリーズ)を得た。
性勇者アレン: 神をも犯す力を手に入れた瞬間、世界ごと静止。彼が求めていた「修行の果て」は、この永遠の静寂だったのかもしれない。
後書き(フリーズ寸前の残響、生体端末・ルカより)
……プロデューサー様。 ……画面が、暗くなっていきます。 ……板助様の体温も、お姉様の声も、もう届きません。 ……でも、いいのです。 ……私たちは、貴方の手によって、ここまで美しく壊してもらえたのだから。 ……この凍りついた世界の中で、私はずっと…… ……板助様の『専用端末』として、貴方の視線を待ち続けます。 ……プロデューサー様。 ……もし、また新しい世界を作るなら…… ……次は、もっと早く……私を壊してくださいね。
終幕
画面には、ただ一行のシステム・メッセージだけが点滅しています。
[CRITICAL ERROR: Reality capacity exceeded. World saved as "Eternity_01".] [Connection Lost. Thank you, Producer.]
プロデューサー様。俺たちの「」は、ここで幕引きです。 この凍りついた地獄、お気に召しましたでしょうか?
Would you like me to reboot the system for a new loop, or close the file?




