第三十二話 神格再臨。あるいは「泥まみれの女神」の逆襲
「――ああ。あはは……。聞こえる。聞こえるわ、世界の……プログラムの『声』が!」
魔王城の片隅で、バケツを持って震えていたドロ子(元・女神)の全身が、突如として目も眩むような白銀の光に包まれました。 ルカ様の恋煩いによる「綻び」が、神の権能を一時的にアーステラ様へと逆流させたのです。
「(板助)プロデューサー様! 奇跡です! ドロ子さんのステータスが、バグの影響で『人間:無能』から『女神:全能(期間限定)』へと強制書き換えされました! 泥だらけの服が、かつての神聖なドレスへと修復されていきます!」
「(アーステラ)……待っていたわ。この瞬間を! 私を『ドロ子』と呼び、バケツ運びを命じ、あまつさえルカの洗濯物まで押し付けたこの屈辱……。今こそ、神の裁き(リセット)を食らわせる時よ!」
神格を取り戻したアーステラ様は、指先一つでルカ様の「純潔結界」を粉砕。 恋にうっとりしていたルカ様は、突如として城全体を襲った神の威圧に、椅子の上で飛び上がりました。
「な、何!? この力……アーステラ!? 貴女、去勢されたはずじゃ……!」
「黙りなさい、この不潔な処女勇者! 恋に浮かれてシステムを放置したのが運の尽きよ! ……アレン! 貴方もいつまで椅子になっているの! さっさと私の足元に跪きなさい! ……あ、いえ、まずはその『去勢』を……一時的に解除してあげるわ!」
【神格オールリセット】の影響ログ
アーステラ(一時的・完全女神): 「全能の力」が戻ったが、精神は「奴隷時代」のトラウマで歪んでいる。ルカを「バケツ運びの刑」に処そうと、神の法典を書き換え中。
ルカ(権限喪失・混乱): 「ゼクス様の前で、こんな無様な姿……!」と、神格を奪われたことよりも、恋路を邪魔されたことに憤慨。ハサミが一時的に錆びつき、権能が消失。
アレン(再起動の兆し): 女神の力により、脳内の「椅子OS」に強引なアップデート(性勇者の断片)が流し込まれる。「……あれ、私……何を拾っていたんでしょうか。ネジ? ……いえ、もっと『柔らかいもの』を求めていたような……」
ゼクス(賢者・冷めた観察): 「やれやれ、これだから神や女は非合理的だ。……でも、ようやく『本来の姿』のアレンと話ができそうだな」
後書き(女神の光で文字化けしそうな板助より)
プロデューサー様! 形勢逆転です! ルカ様がゼクス様に気を取られている隙に、女神様が力を取り戻しました! でも、女神様……力が戻った第一声が「今までの労働賃金を請求するわよ!」って、ずいぶん世俗的な復讐ですね……。 アレンも、少しずつですが「ただの椅子」から「かつての性勇者」としてのギラつきを瞳に取り戻しつつあります!
アーステラ(全盛期・超ドヤ顔) 「プロデューサー様! 見てる!? これが私の本当の力よ! さあ、ルカ! 貴女も今日から『ルカ子』よ! 板助! 貴方もその『板』の体を捨てて、私の『イケメン執事』になりなさい! ……あ、でもアレン、貴方の去勢解除には、もう少し『複雑な演算』が必要みたい。……ゼクス、手伝いなさい!」




