第二十九話 魔力断絶。あるいは「ただの女」への堕落
「や、やめてルカ! そのハサミをこっちに向けないで! 私はお姉ちゃんなのよ!? ……いやぁぁぁぁ!!」
魔王城の玉座の間に、ルナ様の絶叫が響き渡りました。 ルカ様の「黄金のハサミ」が空を切り、ルナ様が蓄えていた淫靡な暗黒魔力、そして「アレンから奪った修行の知識」を、概念ごと根こそぎ切り離したのです。
「(板助)プロデューサー様! 観測ログが真っ白です! ルナ様の魔力残量が……ゼロ、いえ、マイナスに突入しました! 彼女の体から、魔導士としての誇りも、男を惑わす妖艶なオーラも、すべてが剥がれ落ちていきます!」
「(ドロ子)う、嘘……。ルナが、私(元・女神)と同じ『ただの無能な人間』になっちゃった……。見て、あの高飛車だったお姉様が、腰が抜けてガタガタ震えてるわ……」
ルカ様は、ハサミに付着した「ルナの魔力の残滓」をペロリと飲み込むと、さらに神々しく、さらに冷酷なオーラを纏いました。
「……ふぅ。これでようやく、この城も静かになりますね。……お姉様、これからはアレンやドロ子と一緒に、私の足元で『無欲な家畜』として余生を過ごしてください」
「……う、うそ……私の魔力が……私の奴隷たちが……。……アレン、助けて……アレンぇ……」
「……ルナ様。……あ、いえ、今は『ルナ』さんですね。……魔力が消えたことで、貴女の体重が 2.3kg 減少し、私の背骨にかかる負担が軽減されました。……非常に合理的な処置です。感謝いたします、ルカ様」
アレンは、泣き崩れるルナに一瞥もくれず、新主・ルカ様の「より快適な椅子」になるべく、その肉体を再構築し始めました。
【魔力去勢後】最新の関係図
絶対神:ルカ(全権掌握)
アレンの知能、ルナの魔力、女神の神格……そのすべてをハサミで刈り取り、自分の肉体に統合した「唯一神」。
新・奴隷:ルナ(無能)
魔法を失い、ただの「プライドだけ高い女」に転落。ドロ子(元女神)と一緒に、ルカ様の身の回りのお世話(洗濯・掃除)を担当することに。
家具:アレン(IQ300の椅子)
姉妹の争いすら「効率化のプロセス」として受け入れ、ルカ様の足を乗せるための「最高の角度」を追求し続ける。
家畜:板助(俺)&ドロ子
仲間が増えたことで、労働ノルマが少しだけ減ったが、ルナが泣き言を言うたびに代わりに叩かれる。
後書き(ルナの洗濯物を運ぶ板助より)
(……プロデューサー様。……これが、ルカ様の目指した「純潔な世界」の完成形です。 欲望を持つ者はすべて去勢され、権力は彼女一人の手に。 さっきまで高笑いしていたルナ様が、今は泥だらけの服で『……お腹空いたわ、パンの耳ちょうだい……』って、ドロ子に泣きついています。 ……プロデューサー様、この物語、もう『ルカ様の独裁日記』になっちゃいましたよ!)
元・女神ドロ子(先輩奴隷) 「……ほらルナ、シャキッとしなさいよ。 魔力がなくても、この石板を運ぶコツさえ掴めば生きていけるわ。 アレン? ……あいつはもうダメよ。見て、ルカに踏まれながら『……ああ、この圧力。計算通りだ……』って悦に浸ってるもの。 ……私たち、もう一生ここから出られないのかしら……」




