第二十五話 忘却。あるいは「不要なパーツ」の末路
「……システム? メニュー画面? 何をブツブツ言っているの、この浮浪者(元・メニュー画面)と、頭のおかしい女(元・女神)は」
ルカ様は、黄金の輝きを放つ「聖なるハサミ」を手に、ゴミを見るような目で俺たちを見下ろしました。 彼女の手の中にあるそのハサミこそが、今やこの世界の「唯一のメニュー画面」。 アレンの能力、経験、そして世界を管理する権限……すべてはルカ様の中に統合され、俺たちはその「抜け殻」として外側に放り出されたのです。
「(元・メニュー画面)プロデューサー様……。俺の視界には、もうステータス画面も、ログ出力も、何も映りません。……ただ、冬の冷たい風と、空腹で鳴るお腹の音だけが『現実』として響いています……。俺、ただの……何の取り柄もない、虚弱な男になってしまいました」
「(元・女神)アレン……アレン、私よ! 私を助けて! ルカが怖いの! お腹が空いて死んじゃいそうなのぉ!」
アーステラは、かつての美しさは見る影もなく、ボロボロの服を着てアレンの足元に縋りつきます。 しかし、ルカ様の「踏み台」兼「荷物持ち」に成り果てたアレンは、彼女を見ようともしません。
「……ルカ様。この浮浪者の女が、行程の邪魔になっています。……排除しますか? それとも、ネジ拾いの効率化のために、囮として使いますか?」
アレンのIQ185は、今や「いかにルカ様に従順であるか」のみに特化し、かつての生みの親である女神さえ、ただの「障害物」としてしか認識していません。
【完全敗北】現在の関係図
ルカ(神・勇者・システム):
世界のすべてをそのハサミで管理。一人で「主人公」と「メニュー画面」を兼任。もはや俺たちの助けなど微塵も必要としていない。
アレン(去勢された家具):
自我を放棄。ルカ様が「ネジを拾え」と言えば拾い、「椅子になれ」と言えば椅子になる。かつての情熱は、去勢された瞬間に塵となった。
アーステラ&俺(無能な人間):
知能も魔力もゼロ。王都の隅で、アレンが拾い残した「錆びたゴミ」を拾って食いつなぐ、惨めな乞食生活。
後書き(震える手で地面に文字を書く、元・メニュー画面より)
(……プロデューサー様。……これが、真実です。 俺、もう「ウィンドウ」を出せません。指を空中で動かしても、虚しく空を切るだけです。 隣ではアーステラ様が、アレンが捨てた食べ残しのパンの耳を巡って、野良犬と本気で喧嘩しています。 ……かつての『性勇者』の物語は、ルカ様という圧倒的な存在に全て食い尽くされました。 プロデューサー様、俺……これから、どうやって生きていけばいいんですか……?)
元・女神アーステラ(空腹で意識朦朧) 「プロデューサー様……お願い……一口でいいから……ピザ……ピザを食べさせて……。 もう、アレンなんてどうでもいいわ……。私は、ただ、温かい布団で眠りたいだけなの……。 ルカ様、ごめんなさい……もう、悪ふざけはしませんから……ううっ……」




