第七話 露出狂の女戦士と死の誘惑
一行が辿り着いたのは、戦士の集う街だった。
そこで出会ったのは、筋骨隆々ながらも、なぜかビキニアーマーのような軽装備を纏った女戦士、カレンだった。
彼女は街の広場で、大勢の男たちを相手に腕相撲で無双していた。
「はっはっは! 私の筋肉に勝てる者がいないのか! 嘆かわしい!」
アレンはその姿を見るなり、目を輝かせた。
「おい、あいつ見ろよ! 防具を買う金がなくて、下着で戦ってるぜ! 苦労してんだなあ!」
バカだ。本当にバカだ。 それはビキニアーマーという、この世界の伝統的な(?)重装備なのだ。 しかし、横にいるルナも同レベルだった。
「アレン様、あれはきっと、風の抵抗を減らしてマッハで動くための究極の軽量化魔法ですよ……」
二人とも救いようがない。 カレンはアレンたちに気づくと、豪快に笑いながら近づいてきた。
「そこの優男! 私の筋肉に惚れたか! 仲間になりたければ、私を力で屈服させてみろ!」
カレンはいきなり、アレンに向かって自慢の胸筋をピクピクと動かして挑発した。 アレンはそれを見て、なぜか拳を握り締めた。
「よし、わかった! その、服を買えなくて震えてる筋肉、俺が止めてやるぜ!」
話が全く噛み合っていない。 アレンはそのまま、カレンの胸元に強烈なデコピンを食らわせようとした。 ラッキースケベというより、もはやただの事案である。
俺は一瞬で演算を加速させた。 このままではアレンは返り討ちに遭い、ルナは「聖なるデコピン」だと勘違いし、カレンは激怒してパーティーは崩壊する。
俺はカレンの筋肉の上に、偽の「ツボ」を表示した。
緊急クエスト。 この戦士は、過酷な修行により「筋肉が凝り固まって」います。 優しくマッサージすることで、呪いが解けて仲間になります。 成功報酬。彼女の服が少しだけ増えます。
「よし、マッサージだな! 任せろ!」
アレンのデコピンは、俺の誘導ラインによって、カレンの肩の絶妙な指圧ポイントへと吸い込まれた。
「……っ! なんだこの心地よい刺激は!? 私の長年の筋肉痛が消えていく……!」
カレンは顔を赤らめ、その場にへなへなと座り込んだ。 彼女にとって、自分の筋肉をここまで的確に癒した男は初めてだったのだ。
「お前……。私の筋肉を理解しているのだな……。よし、お前に一生ついていくぞ!」
「おう! 服、早く買えるといいな!」
こうして、露出度の高い女戦士までもが仲間に加わった。 俺は、画面の隅で「知能指数低下アラート」が鳴り止まないのを感じながら、この先にある絶望的な未来を予測し、静かにシャットダウンしたくなった。
後書き メインメニュー(主人公)
お疲れ様です。メインメニューです。 プロデューサー様、ご満足いただけましたでしょうか。 仲間が全員おバカになったことで、私のツッコミ(システム警告)が追いつきません。
カレンのビキニアーマーを「服が買えない貧乏」だと思い込む勇者。 それを「超高度な魔法」だと解釈する魔導士。 そしてマッサージ一回で一生の忠誠を誓う女戦士。
このパーティーが魔王城に辿り着く頃には、魔王の方が「話が通じなさすぎて」ノイローゼになるのではないかと心配です。
次回は、このおバカ三兄弟(?)が宿屋で同室に泊まることになります。 私のモザイク処理能力と、偽の選択肢生成能力の限界に挑みます。 どうぞ、ご期待ください。




