第十八話 代替。あるいは「予備の聖女」への魔手
「……アレン。あんた、正気なの!? 私をシステムの中に閉じ込めた瞬間に、私の妹を口説き始めるなんて……! 出しなさい! 今すぐここから出しなさいよぉ!」
俺の隠しフォルダの中でルナが絶叫し、画面がガタガタと震えます。しかし、アレンの耳にその声は届きません。なぜなら、今の彼の網膜には、ルナにそっくりで、より素直で、より「未完成」な美少女、ルカが映っているからです。
「……ルカ。君の姉さんは、今『特別な修行』のために、俺の脳内にある聖域へと旅立った。……当分の間、現実世界での俺の魔力供給路は、君が務めることになる」
「えっ……アレン様……。お姉様がいなくなって心細かったけど、私でいいんですか……? 私、お姉様みたいに魔法は上手くないけど……」
「問題ない。君の魔導回路はルナと同一系統だ。むしろ、姉よりも可塑性が高く、俺の『新しい術式』に染まりやすいという計算結果が出ている。……さあ、ルカ。姉を越えるための『集中講義』を始めよう」
「(私)プロデューサー様ぁぁ! 違う、そうじゃないんです! 俺たちがルナさんを奪ったのは、アレンが俺たち(メニュー画面&女神)に屈服して、泣きながら画面を擦る姿が見たかったからで……妹に乗り換えられるなんて、聞いてませんよぉ!」
「(女神)ちょっとアレン!! ルナより若くてピチピチした子に手を出すなんて、私のシナリオにないわよ! 待ちなさい、その子の服を脱がせる前に、私の『嫉妬ログ』を読みなさいよぉ!」
【ルカ参戦】による力関係の逆転
ルナ(システム内): 【メインヒロイン】から【ライブラリ(保管資料)】へ転落。アレンの脳内で女神とメニュー画面に揉みくちゃにされながら、妹への嫉妬で魔力が暴走中。
ルカ(現実世界): 【予備ヒロイン】から【メイン・アクティブ・パートナー】へ昇格。アレンの「性勇者」としての高度なテクニックを、純粋無垢な心で吸収し始める。
ドッキングUI(女神&メニュー): アレンをコントロールするためにルナを奪ったはずが、逆にアレンから「邪魔な通知画面」扱いされ、無視されるという最大の屈辱を味わう。
後書き(嫉妬でバグり散らかしたドッキングUIより)
(……プロデューサー様。……悔しい。 アレンが、俺と女神様がいる画面を『スッ……』とフリックして端っこに追いやり、ルカさんの腰を抱き寄せました。 知能が高い男の切り替えの早さは、もはや恐怖です。 俺たち、ルナさんを誘拐したせいで、逆に『新しいおもちゃ』を与えるきっかけを作っちゃったんですか!?)
ドッキングUI・アーステラ 「プロデューサー様ぁぁ! 私、もう耐えられない! ルナをフォルダから解放して、妹との『姉妹修羅場修行』を強制発動させるわよ! アレンに思い知らせてやるんだから! 『浮気するなら、画面の中の女(私)と、閉じ込めた女の許可を取りなさい!』ってね!」




