第十話 無効化。あるいは「メタ視点」の逆襲
「……認めよう。貴様らの個体特性は、知能指数の増減程度で制御できるほど浅いものではないことを」
ジャッジは、バキバキに異音を立てる戦車(ネジをアレンに抜かれたため)から降り立ち、その冷徹なバイザーを光らせました。
「だが、個体が変えられないなら、その『舞台』ごと消去するまでだ。アーステラ、貴女がこの世界を『物語』として楽しんでいるなら……そのプロットを、物理的にデリートさせてもらう」
ジャッジが空中に入力したコマンドにより、アレンたちの足元に「消去領域」が展開されます。 それは、バカも天才も関係なく、存在そのものを「なかったこと」にする情報のブラックホール。
「ちょ、ちょっと! それは反則よ! キャラクターがいなくなったら、私の楽しみがなくなっちゃうじゃない!」 慌てる女神を余所に、消去の光がアレンのつま先に迫ります。
しかし、そこでアレンが取った行動は、またしても「知能」の枠を超えていました。
「……あ。消えかかってる地面の端っこ、これ、『レアな素材』っぽくないか?」
アレンは、存在を消し去るはずの「デリート・ゾーン」の境界線を、あろうことか『木の棒』の先でつつき始めました。
「バカな!? それは情報の無だぞ! 触れれば貴様の存在情報が崩壊するはず……」
「いや、ジャッジ。見てくれ。この『消える光』、集めて瓶に詰めたら、最強の武器のエンチャントに使える気がするんだ。……ルナ、これ『数理的』にパッキングできないか?」
「……正気? でも、確かに。この消去エネルギーを逆相関で演算して、再構成すれば、世界で唯一の『虚無属性の魔法瓶』が作れるわね……。やってみるわ、アレン!」
「……筋肉を消すなんて、最高の『軽量化』じゃない。やってやるわ!」
討伐軍が放った「絶望」を、アレンたちは「新種のドロップアイテム」として認識。 あろうことか、異世界の最新消去兵器を「素材狩り」の対象として攻略し始めたのです!
異世界討伐軍・戦況ログ:致命的エラー
攻撃内容: 存在消去プログラム「ワールド・デリート」の発動。
対象の反応:
勇者:消去プログラムの破片を「コレクション」として収集開始。
魔導士:プログラムのソースコードを「新魔法の触媒」として勝手に改変。
戦士:消去の圧力を「高負荷トレーニング」として利用。
結論: この世界の住人は、「死(消去)」さえも「コンテンツ」として消費する。 論理的・物理的な攻撃はすべて「面白み」として吸収されるため、制圧は不可能。
後書き(メニュー画面より)
(……プロデューサー様ぁぁ! 見てください、あのジャッジの呆然とした立ち姿! 自分たちの必殺兵器が、アレンに『珍しい光る砂』として瓶に詰められていくのを見て、心が折れちゃってます! 知能が戻ったことで、『拾い癖』に『応用力』という名の翼が生えちゃいましたよ。 もはや誰も、このバカたちを止められません!)
改変されたメニュー画面 「プロデューサー様! 女神様が『ひゃっはー! 異世界の兵器、超便利な素材集め会場じゃない!』って、討伐軍の母艦を指さして笑ってます! ジャッジはもう、泣きながら帰る準備を始めてるみたいですが……。 アレン、その戦艦の『メインエンジン』を拾い物袋に入れようとするのは、さすがにサイズ計算が合わないって!!」




