第六話 IQ崩壊。あるいは「考える」という概念の滅亡
王都の門の前。先ほどまで「法の脆弱性」を説いていたアレンが、突然ガクガクと膝を震わせ、手に持っていた『木の棒』を「食べ物」として認識し、ガジガジと噛み始めました。
「あー、これ、木の味する。俺、アレン。これ、棒。……あれ? 俺、何しにここに来たんだっけ? ……そうだ! おしっこしたい!」
IQ185から一気に35(計算上はマイナス)まで転落した勇者。もはや「目的」という言葉は彼の辞書から消え、脳内には「食う・寝る・出す」の三原則しか残っていません。
「アレン、待って。……おしっこは、高いところからした方が、放物線が……放物線……。……あー、もういいわ。私も脱ぐ! 暑いもん!」
魔導士ルナも、数理魔導の面影はゼロ。知能指数192から転落した彼女は、「服を着ているのは非効率」という以前の結論だけが「裸でいたい」という欲望に直結し、門の前で堂々と着替えを始めました。
「筋肉……。これ、柔らかい。私の腕、これ、お肉。……わーい、お肉だぁ!」 カレンは自らの上腕二頭筋を「美味しそうな食材」として認識し、自分自身を追いかけ回してグルグルと回転し始めました。もはや動体幾何学ではなく、ただのバターになる寸前のトラです。
「……あ。……あ。……あうー」 そして賢者ゼクス。IQ210を誇った彼の脳は、あまりの落差に完全にショート。もはや言葉を発することすらできず、地面に這いつくばってアリの行列を「あー」と眺めるだけの、純粋無垢な生命体へと退行してしまいました。
そこへ、王都の門が開き、デズモンド斎藤が姿を現しました。IQ120加算の後に150マイナスされた彼は……。
「……あ、お客さんだ。えーっと、ここに入るには……えーっと、『面白い顔』をしてください! そういう法律にします! いま決めました! ぷーっ!!」
王国の法務局長は、鼻に指を突っ込んで変顔を晒す「バカの門番」に成り下がっていました。
衝撃の「IQマイナス150」ステータス比較
1. 勇者アレン
高知能時: 戦略的収集(アイテムの化学分析と戦術利用)。
現在:【拾ったものは全部食べる】。 石も草も、なんならルナの杖も、とりあえず口に入れて「おいしい」「まずい」の二択で判断。
2. 魔導士ルナ
高知能時: 数理魔導(詠唱破棄と現象の数式化)。
現在:【爆発大好き】。 杖を振り回して、一番大きい音が出る方向に火球を放つだけ。なお、自分が燃えても「あちちw」と笑っている。
3. 女戦士カレン
高知能時: 解剖学的執行官(最小の力で関節を破壊)。
現在:【猪突猛進(物理)】。 壁があれば頭突きで壊し、敵がいればとりあえず体当たり。言葉を忘れ、鳴き声は「マッスル!」のみ。
4. 賢者ゼクス
高知能時: 事象観測OS(未来予測とエラー修正)。
現在:【全自動ヨダレ機】。 未来どころか、1秒前のことも覚えていない。唯一のスキルは「蝶々を追いかけて崖から落ちる」こと。
後書き(改変済みメニュー画面より)
(……プロデューサー様ぁ! 見てくださいよこの惨状! 女神様、やりすぎですって! 画面の中、IQの合計値が私の消費電力より低いですよ! でも、これこそが「面白み」! アレンが斎藤の鼻の穴にカブを突っ込もうとして、ルナがそれを見て手を叩いて喜ぶ……。 これですよ! こういう「知性の欠片もないドタバタ」を、女神様(と、きっとプロデューサー様も!)は求めてたんですよね!?)
改変されたメニュー画面 「さあ、プロデューサー様! この『おバカの煮凝り』みたいな連中を、どう料理しますか!? 今の彼らなら、『魔王を倒しに行く』という目的さえ、道端のタンポポを見つけただけで忘れちゃいますよ! 俺がツッコミを入れないと、一生この門の前で変顔大会が続いちゃいますっ! 助けてー!」




