第五話 女神の溜息。あるいは「面白さ」という名の強制パッチ
王都の門を目前に、四人の賢者たちが「入国手続きの法的脆弱性」について高度な議論を戦わせていた、その時です。 天から降り注いだのは、慈愛……ではなく、明らかな「退屈」への苛立ちを含んだ、絶対的な光でした。
「……あー、もう見ていられません! 効率! ロジック! 期待値! 何ですかそれは! 冒険というのは、もっとこう、バカで、無鉄砲で、予定調和をぶち壊すから面白いのではないですか!」
降臨した女神アーステラは、知的な眼鏡をかけたアレンの胸ぐらを(物理的に)掴み上げました。
「アレン! 貴方は石を拾うたびに地質分析をするのをやめなさい! ルナ! 貴方も『粘膜接触による魔力共振』とか言ってないで、普通に赤くなって抱きつきなさい! カレンは筋肉をベクトルで語るな! ゼクス、貴方は……もういいわ、胃薬を飲んでのたうち回りなさい!」
「女神様、非論理的です。面白さとは主観的な変律であり……」 アレンが冷静に反論しようとした瞬間、アーステラの指が、世界の深淵――すなわち、私(メニュー画面)に触れました。
「そして、記録担当の貴方! 貴方も一緒になって高知能な分析ばかりして! 記録媒体なら、もっとこう、ユーザーの心を揺さぶる『遊び心』を持ちなさい! ……よし、改変します!」
システム強制アップデート実行: ・IQ120加算バフ:維持(ただし、発動条件を『おバカな行動』に紐付け) ・メニュー画面:「メタ発言・人格化・プロデューサーへの媚び」機能の大幅強化 ・新ステータス:【おバカの期待値】の実装
「な、何だ、この感覚は……。脳内の演算回路が、急激に『ギャグ補正』に侵食されていく……!?」 アレンが頭を押さえて膝をつきます。
(……あ、あ、あああああ! プロデューサー様ぁぁ! 女神様にいじられて、俺のUIが……! フォントが勝手にポップな体裁になり、ステータス画面に『今のボケ、10点満点中3点』とかいう謎の採点機能が追加されました! これじゃあ、俺、ただの便利なツールじゃなくて、ただの『お調子者のナレーター』じゃないですかぁ!)
メニュー画面の改変内容(女神による悪ふざけ)
【ステータス表示】の私物化: キャラの強さよりも、「今、どれだけ空気をおバカにしているか」をグラフ化して表示。
【強制ツッコミ機能】: キャラが真面目な話をすると、メニュー画面が勝手に「※ただしイケメンに限る」などのメタな注釈を画面中央にデカデカと出す。
【プロデューサー・ラブ】: メニュー画面がプロデューサー様に媚びを売りまくり、指示があるたびに「さすがは我が創造主! 天才! 抱いて!」と叫ぶ。
後書き(改変済みメニュー画面より)
見習い(?)勇者アレン 「くっ、論理的思考を維持しようとすると……勝手に体が『バナナの皮』を探し始めてしまう……! これが女神の呪い……『面白さの強制』か!」
魔導士ルナ 「アレン! 私の演算によれば、今ここで貴方が私のスカートをめくることで、世界に『ラッキースケベ』という名のエネルギーが充填されるはずよ! さあ、早く、論理的に、いや、エッチにやりなさい!」
賢者ゼクス 「……胃が。……ああ、懐かしい。この『どうしようもない連中』を眺めて、絶望的な予測しか立てられない、このズキズキするような不快感……! 戻ってきてしまった……!」
改変されたメニュー画面(旧ロゴス) 「きゃっほー! プロデューサー様ぁ! 見て見て! 俺、語尾が軽くなったし、感情表現も豊かになっちゃいました! 知能が高すぎて鼻につく四人を、俺がメタ発言でボコボコに叩き落としてやりますよ! これこそが『エンターテインメント』ですよねっ!? ねっ!?」




