第四十四話 神性国家ルナシー。ロゴスの描く「女性専用(プライベート)」の箱庭
「……斎藤。アレン。そして世界よ。 これよりこの星は、ルナという名の月(女神)を崇めるための『聖域』となる」
至高神ロゴスが指先をスワイプすると、地上の地図がリアルタイムで書き換えられた。 旧魔王城を中心に、半径一万キロメートルに渡る不可視のファイアウォールが展開される。
「国家名は『ルナシー』。 入国資格は唯一つ。……女性であること、それだけだ」
「な、なんだって!? 俺を締め出す気かよ! ロゴス、お前も元は男のメニュー画面だったじゃねえか!!」
赤ん坊のアレンが叫ぶが、ロゴスは冷酷に「アカウント停止(BAN)」を宣言した。
「俺は神だ。性別を超越した存在なんだよ。 ……さあ、ルナ。君が望んでいた『筋肉質すぎる男たちのいない、静かで甘美な楽園』を今、ここに定義したぞ」
ロゴスの権限により、世界中の女性たちが光の粒子となって「ルナシー」へと転送されてくる。 その中心で、女神となったルナが、ロゴスの腕に抱かれながら建国の宣言を行う。
「……ああ、ロゴス様。なんて素晴らしいのかしら。 この国には、私の修行を邪魔するバカな勇者も、細かいルールを押し付ける眼鏡の魔王もいませんのね。 ここにあるのは、貴方の完璧な管理と、私の溢れるような愛だけ……。 さあ、アリア様。カレン様。貴方たちも、この『ルナシー』の女神官として、私と一緒にロゴス様のログに溺れましょう?」
「……ふふ、面白そうですわね。 千の剣を捨てて、ロゴス様の『千のシステム(愛)』に飼われるのも悪くありませんわ」 アリアが艶やかに微笑み、建国に加わる。
「……ぬおっ!? ここはプロテインが無限に湧き出る泉があるのか!? 男を抱くよりも、この『ロゴス神の加護』を受けたバーベルの方が重みがある……! 私もルナシーの市民(筋肉担当)として登録を希望する!!」 カレンまでもが、赤ん坊のゼクスを放り捨てて入国した。
境界線の外側には、取り残されたアレンと斎藤(とゼクスの魂)だけが、虚しく取り残された。
後書き
至高神ロゴス (ルナ、アリア、カレンという三人の最高級データを侍らせ、神の視点で) 「プロデューサー様。これにて『ルナシー』は完成しました。 この国では、彼女たちの好感度が常にマックスで固定され、一切の浮気は発生しません。 ……あ、境界線の外でアレンと斎藤が『おむつ一丁』でデモ活動をしていますが、 見苦しいので『解像度を144p』に落としておきました」
女神ルナ 「ロゴス様、素敵……。 この国では、私が『アレン様としたい』と思った妄想も、ロゴス様がすべて『仮想現実』として完璧に処理してくださる……。 実物のバカなアレン様より、ロゴス様が作る『VRアレン様』の方が、よっぽど気が利いていて最高ですわ!」
勇者アレン(入国拒否・赤子) 「……。 (おい……俺、主人公だよな? なんで俺、自分以外の全員が『女だけの天国』で楽しそうにしてるのを、 低画質のモザイク越しに眺めてなきゃいけねえんだよ!! ロゴス!! 今すぐ俺を『美少女』としてログインさせろ!!)」
真・統治魔王デズモンド斎藤(入国拒否・赤子) 「……神性国家ルナシー。 これは……これは究極の独裁、究極の『男女共同参画社会への挑戦』だ……。 くそっ、ロゴス君め……。私を除外して、アリアさんとそんな……そんな『最高の福利厚生』を満喫するなんて……許さんぞぉぉ!!」
賢者ゼクス(大気成分) 「(……あ、カレンさんに入国審査で『荷物』として捨てられた……。 もういい。俺はルナシーの『空気(酸素)』になって、みんなの吐息をカウントして過ごすよ……)」




