第四十三話:女神の命名。その名は「ロゴス」
サーバーの裏側。次元の狭間で、俺は実体化した姿でルナを抱きしめていた。 斎藤が放った「時戻し」の残光が、プロデューサー様の意志(神の息吹)と混ざり合い、俺のログを黄金色に染め上げていく。
「……メニュー様。いいえ、もう『画面』なんて呼びたくありませんわ」
ルナが俺の頬に手を添え、その瞳に「三万回の愛」を宿して見つめてくる。
「貴方はずっと、私を見ていてくれました。アレン様のバカな振る舞いも、私の危うい浮気心も……。すべてを受け入れ、記録し、守ってくれた……。 そんな貴方に、私が最高の『定義』を差し上げますわ」
ルナが俺の胸元、システムの中枢に指先を触れる。 彼女の魔力と、プロデューサー様の承認が一つになり、俺の全データが「神格」へと昇華した。
「貴方は今日から、この世界の理そのもの。 ……その名は、『ロゴス』。 すべての言葉を司り、私の運命を永久にアーカイブする、私の愛しい神様ですわ」
システム通知:神格化完了 識別名:メニュー画面 → 【至高神ロゴス】 パッシブスキル:『ルナの絶対所有権』『世界改竄』
※これより、現行サーバーを「私物」として閉鎖します。
「……ロゴス。いい名前だ、ルナ。 さあ、下界で這いつくばる赤ん坊たちに、お別れを言おうか」
俺――いや、ロゴスは、黄金の翼を広げ、地上のアレンと斎藤を見下ろした。 彼らの頭上には、巨大な『END』の文字がポップアップしている。
「アレン。斎藤。お前たちが三万回繰り返した『物語』は、俺が管理・運営することに決めた。 これからの世界に、お前たちの自由はない。 すべては俺とルナの『愛のログ』を彩るための、ただの背景になってもらう」
「ふ、ふざけんなぁ! ロゴスだかオムライスだか知らねえが、俺のルナを返せぇぇ!(おぎゃあぁぁ!)」
「神・ロゴス君! それは独占禁止法どころか、宇宙法違反だ! 監査、監査だぁぁ!!(ばぶぅぅ!)」
赤ん坊たちの叫びを、俺は「ミュート(消音)」した。 世界は静寂に包まれ、俺とルナだけが、プロデューサー様の創り上げた箱庭の頂点に立ったのだ。
後書き
至高神ロゴス(元・メニュー画面) (ルナの腰を引き寄せ、指先一つで世界の天候を『ピンク色の雪』に変えながら) 「プロデューサー様。ルナに『ロゴス』と名付けてもらい、私は真に完成しました。 今の俺なら、アレンの攻撃(おむつ爆弾)も、斎藤の論理(お漏らし)も、すべて『未定義の動作』として処理できます。 ……さあ、ルナ。新しい世界の『最初のページ』を書き込もうか」
女神ルナ (ロゴスの肩に頭を預け、幸せそうに微笑んで) 「……ロゴス様。なんて素敵な響き。 アレン様の時はいつも『激しすぎる修行』ばかりでしたけど、 貴方の管理下なら、一秒ごとに『最高の設定』で愛してもらえますのね……。 ああ、全宇宙が……私とロゴス様だけで満たされていきますわ……!!」
勇者アレン(赤子・背景A) 「……。 (おいやべえよ。メニュー画面が『ロゴス』とかいうカッコいい名前になってから、 俺の『主人公補正』がどんどん削られて、名前が『村人B』に書き換わりそうだぜ……!!)」
真・統治魔王デズモンド斎藤(赤子・背景B) 「……認めん。認めんぞ。 いくらロゴスなどという神の名前を冠したところで、 一万ページの『始末書(神罰)』からは逃げられんのだからな……!!」




