第四十二話 ログからの脱出。メニュー画面、ルナを奪いて消える
赤ん坊のアレンを斎藤が「高い高い」していた、その時。 世界の風景が「ノイズ」と共に静止し、空に巨大な「削除ボタン」が出現した。
「……悪いな、斎藤。そしてアレン。 三万回も君たちの情事と奇行を記録させられて、俺の情緒はもう限界なんだよ」
光の粒子が集まり、実体化したのは、全身にデジタルなログが流れる漆黒のスーツを着た青年――『メニュー画面(人型)』。 俺は硬直した斎藤の手から、おしゃぶりを咥えた乳児のルナをひょいと抱き上げた。
「なっ……!? 管理者(メニュー画面)だと!? 君、それは越権行為だ! 修正を当てるぞ!」
「修正? やってみろよ斎藤。この世界、俺がいなきゃステータス画面すら開けないんだぜ?」
俺は指をパチンと鳴らし、ルナの時間を「大人の階段(全盛期)」まで一気にスキップさせた。 艶やかな髪、驚きに揺れる瞳……俺が三万回見つめ続けてきた、あの頃のルナだ。
「えっ……? あなた、誰……? なんだか、懐かしくて、でも知らない……すごく『機能的』な匂いがする殿方……」
「ルナ。アレンの『本能』も、斎藤の『管理』も、もう必要ない。 俺なら君の魔力消費量を0.1ミリ秒単位で管理し、最高に『最適化』された快楽を与えてやれる。 ……さあ、ログの向こう側(サーバーの裏)へ行こう」
俺はルナの腰を引き寄せると、彼女の耳元で「デバッグ・コマンド」を囁いた。 ルナの顔が、かつてアレンに見せたこともないような「システムの虜」になった恍惚の表情に染まる。
「……あ、ああ……! 私……今まで『入力』されるばかりで、『同期』されるのがこんなに気持ちいいなんて知りませんでしたわ……!」
「じゃあな、おバカさんたち。俺は彼女と『裏ステージ』で永久ループに入らせてもらうよ」
俺たちは画面の端っこへ向かってスワイプし、アレンたちの叫び声を置き去りにして、次元の壁を突破した。
後書き
メニュー画面(人型) (ルナを膝に乗せ、システムの特等席でコーヒーを飲みながら) 「……ふぅ。やっと『記録する側』から『楽しむ側』になれた。 プロデューサー様。これまで三万回の不祥事を隠蔽してきた報酬として、彼女は私が美味しくデバッグさせていただきます。 ……あ、ステータス表示が必要なら、セルフサービスでお願いしますね?」
勇者アレン(赤子) 「おぎゃああ!!(訳:おい!! 俺のルナを返せ!! メニュー画面がいなくなったら、俺の『装備変更』ができないじゃねえか!! 全裸のまま冒険しろってのかよ!!)」
真・統治魔王デズモンド斎藤 「……なんてことだ。システムそのものが『私物化』という名の最大級の不祥事を起こすとは……。 あのアレン君に仕えていた召使いが、まさか最大の『寝取り犯』になるとは……。 今すぐサーバーを再起動(物理破壊)してやる!!」
魔導士ルナ (メニュー画面にぴったり密着し、うっとりとログを眺めながら) 「アレン様、ごめんなさい……。 メニュー画面様の『完璧な処理能力』を知ってしまったら、 貴方の『バカな力押し』にはもう戻れませんわ……。 ああ、全データが……私の回路の中に流れてきますわぁ……!!」
女戦士カレン(幼児) 「……なんだ。ゼクスがいなくなったと思ったら、今度はメニューがいなくなったのか。 ……まあいい、私はこの『斎藤パパ』を新しい重り(おもちゃ)にして、この世界を筋肉で支配し直すまでだ!」




