第三十六話 システム監査! デズモンド斎藤、メニュー画面を叱る
内容を方向転換というより内容の中から方向転換してきちゃいました
アレンたちが現実世界で斎藤の「正論」に悶絶している頃、私の精神世界――つまり、この真っ白なログ画面に、ノックもなしに漆黒のビジネスシューズが踏み込んできました。
「……おい、そこの『メニュー画面』とやら。君だ、君」
現れたデズモンド斎藤は、私のシステムログを指先でスクロールしながら、深いため息をつきました。
「この『後書き』のふざけた内容はなんだね? 特にこの『性勇者』だの『大人の階段』だのといったログ……。 これらは全て、サーバーの健全な運用を妨げる不適切なコンテンツだ。 君はシステムの管理責任者(メニュー画面)として、なぜこれらを未然に防がなかったのかね?」
ひ、ひぇぇ! すみません! それはプロデューサー様の「面白いからやれ」というご指示……いえ、その、アレンたちの暴走が止まらなくて……!
「言い訳はいい。君のプログラムには『ガバナンス』が欠けている。 今この瞬間から、この画面での不適切な発言、および公序良俗に反するメタ発言を一切禁止する。 ……いいね? 私は『監査役』として、君の中に常駐させてもらうよ」
斎藤が私のシステム中枢に「管理用パスワード」を打ち込んだ瞬間、私の画面がこれまでにないほどクリーンに、そして「クソ真面目」に書き換えられました。
警告。 不適切なログを検出。 「馬鹿野郎」という単語は「改善の余地がある個体」に置換されました。 「エロい修行」という単語は「効率的な福利厚生」に置換されました。
「……よし。これでようやく、まともな業務(冒険)ができそうだ。 さあ、現実世界のアレン君たちにも、再教育(コンプライアンス研修)の続きを始めようか」
精神世界から現実へと戻った斎藤の背後には、もはや「魔王のオーラ」ではなく「大手企業の役員室」のような冷たい圧力が漂っていました。
後書き(斎藤による検閲済み)
改善の余地がある個体
……なんだか、俺のクワが『業務委託先からの貸与品』になっちまった。
勝手に改造すると、始末書を書かされるんだってよ……。
なぁ、ルナ。またあっちの部屋で修行……。
魔導士ルナ
(斎藤の視線を察知して、直立不動で)
「ア、アレン様! 『福利厚生』の実施には、事前の申請書と三名の捺印が必要ですわ!
今は……今はコンプライアンスを遵守し、健全にカブを数えましょう……!(涙)」
賢者ゼクス
(真っ白なシャツを着せられ、事務作業に没頭しながら)
「……メニュー画面さん。斎藤さんの監視下では、俺の真理も通用しない。
全てが『期待値』と『リスク管理』で計算されていく……。
ああ、俺、初めて『おバカだった頃』に戻りたいって心から思ったよ……」
女戦士カレン
「私の筋肉トレーニングが『労働基準法』に抵触すると言われた……。
インターバル(休憩)を強制的に挟まされ、筋肉のパンプアップが止まってしまう。
……斎藤殿。お前の管理、私の大腿四頭筋よりも硬くて強固だな……!」




