第十八話 聖騎士団の到来と、噛み合わない正義
四天王を(なんやかんやで)倒した一行の前に、 眩い白銀の鎧に身を包んだ集団が現れた。
王都最強の武力、「王立聖騎士団」の面々だ。 その中央に立つ団長が、厳かに口を開いた。
「勇者アレンよ。貴殿のこれまでの独断専行、もはや見過ごせぬ。 王命により、その不確かな力を没収し、身柄を拘束する!」
だが、アレンにはその言葉が全く別の意味に聞こえていた。 俺が彼の視界に、派手な「イベント演出」を被せたからだ。
新手の魔物・コスプレ騎士団が出現! 彼らは勇者の『聖剣』を盗んで、高値で売ろうとしています。 不自然なほどピカピカの鎧は、実は敵の弱点です。 眩しさに負けず、彼らを『更生(物理)』させてください!
「なんだって!? この聖剣を売るだと!? お前ら、そんな綺麗な格好して、心は泥水みたいに汚れてるんだな!」
アレンは聖剣を構え、聖騎士団に向かって突っ込んだ。
「なっ……反逆か! 出会え! 勇者を制圧せよ!」
聖騎士団の精鋭たちが一斉に抜剣する。 しかし、ここでゼクスが裏で指を動かした。
(……おいメニュー画面! 聖騎士相手に本気でやり合ったら、俺たち一生指名手配だぞ! あいつらの鎧に『滑り魔法』をかけろ! 転ばせて無力化するんだ!)
俺は即座に、聖騎士たちの足元に「バナナの皮」のホログラムを大量に表示。 同時に、ゼクスが地面の摩擦係数をゼロに書き換えた。
「おおお! 勇者アレン、いざ参――どわあああ!?」
ガシャーン! ガシャガシャーン!
聖騎士たちは、自分たちのピカピカの鎧のせいで摩擦を失い、 まるで氷上のダンスのように転び、重なり合い、巨大な「銀色の山」と化した。
「見たか! 俺の気迫に押されて、自分から積み重なりやがったぜ!」
アレンは、山積みになった聖騎士たちの頂上に立ち、クワを高く掲げた。 ルナとカレンも、その光景を「聖なる奇跡」だと信じて疑わない。
「アレン様! 悪しき騎士たちを、一瞬で『銀のゴミ箱』のようにまとめ上げるなんて、 なんて効率的な戦い方でしょう!」
「うむ! 鎧の重さに負けるとは、騎士団も筋肉の鍛え方が甘いな。 よし、私が上からプレスして、さらに固めてやろう!」
(カレンさん! プレスしたら本当に死んじゃうから! 逃げるぞ、今すぐ魔王城に逃げるんだ!)
こうして一行は、王国最強の騎士団を「ただの銀色の塊」に変え、 反逆者の汚名を着たまま、魔王の待つ玉座の間へと全力で走り出した。
後書き
勇者アレン
いやー、最近の魔物は騎士の格好までして騙しに来るんだな。
でも、俺の目は節穴じゃねえぜ!
あの綺麗な鎧の下にある、ドス黒い『クワ泥棒』の本性を見抜いてやったぜ!
賢者ゼクス
(生きた心地がせず、顔面蒼白で)
「あはは……アレンさん、大金星(?)でしたねぇ……」
(メニュー画面さん。俺たち、もう王国には帰れないよな? 魔王を倒した後に、俺だけ亡命していいかな……)
魔導士ルナ
聖騎士様たちが、アレン様の前にひれ伏す(重なる)姿……。
これこそが、真の王者の風格というものですわ。
いつか王都を、アレン様の色で塗り替えてしまいましょう!
女戦士カレン
あの団長の鎧……。
脱がせてみれば、意外と良い筋肉を隠していたのかもしれん。
今度会った時は、積み重なる前に『マッスル・ハグ』で語り合いたいものだ。




