灰かぶりのティコ 365日の魔術学校300文字日記

三年生後期（前半）

958日目：完全に寝坊しました……。

　八七代魔帝暦(まていれき)二四年・馬人《ばじん》の月第十三日・属性（闇）・天気：晴れ

「ティコ様？　午前中の授業はどうされたんです？」

　起床後《きしょうご》、ベッドの上で頭を抱《かか》えていると、マジケット大会の早朝練習《そうちょうれんしゅう》などを終えて部屋に帰ってきたヌリアが、私に気づくなり驚いた様子でそう尋《たず》ねてきます。

　うぅ……最悪です。ここ一週間ほど続いていた例の夢を見なかったせいか、ぐっすり寝《ね》すぎて、完全に寝坊《ねぼう》しました……。

　もう、どんなに急いでも魔導具整備製作《まどうぐせいびせいさく》Ⅱの授業には絶対に間《ま》に合《あ》いません……。

　そんなことを考えつつ、全《すべ》ての元凶《げんきょう》であろう存在へ視線を向けると、戸棚《とだな》に立てかけていたティコの魔導杖《まどうじょう》が、心外《しんがい》だと言わんばかりに、ガタッと大きく揺《ゆ》れます。

　はぁ～、とりあえず午後はアルテ先生に謝《あやま》りに行かないと……。