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914日目:アーシェの誕生日だったのに……。
八七代魔帝暦二四年・天秤の月第三十日・属性(土)・天気:晴れ
微かに漂う薬品の匂い。それに促されるように目を開けると、どうやら私は医務室のベッドで横になっているようでした……。
時刻は夕方、ボーッとする頭で現状を確認していると、
「ティコ、気がついた?」
ベッド脇の椅子に座っていたらしいアーシェが心配した様子でそう尋ねてきます。
あぁ、そうだ、思い出しました……。午前中にあった属性魔術の実技実習。
今回は私とヌリア、ティコの魔導杖に施されている例の封印を全て一時的に解除し、魔力制御訓練をおこなったんです……。
そうしたら、途中でなんだか急に気分が悪くなって、そのまま意識を失ったような?
うぅ……最悪です。アーシェの誕生日なのにどうしてこんなことに!




