894/965
894日目:私は正しい選択をしたんでしょうか?
八七代魔帝暦二四年・天秤の月第十日・属性(水)・天気:晴れ
「やはり白の書ですか……」
夕方の自室。テーブルを挟み向かい合うヌリアに、その選択を伝えると、彼女は嬉しそうでいて、けれどどこか悲しげな笑みを浮かべ、そう言って私を見つめてきます。
次の瞬間、二冊の本とヌリア、その彼女が手にするティコの魔導杖を包む眩い光。
数分後、全ての光が収まると、二冊の本は姿を消し、目の前には、灰色の帽子とローブを着て、ほぼ漆黒の杖を持ったヌリアではなく、純白の帽子とローブを身に纏い、白亜の杖を手にした彼女が立っていました。
その変化に驚いていると――、
「当代――いえ、ティコ様。これからは貴女様の時代です」
と言って微笑むヌリア。私は正しい選択をしたんでしょうか?




