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891日目:黒い本と白い本
八七代魔帝暦二四年・天秤の月第七日・属性(炎)・天気:晴れ
朝食後、食堂から自室に戻ると、真剣な表情をしたヌリアがティコの魔導杖を携え、なにかを決意した感じでテーブルの前に佇んでいました。
そのただならぬ雰囲気に気圧され、促されるままテーブルの椅子に座ると、ヌリア自身も対面の席へ静かに腰を下ろします。
そうして、ヌリアはおもむろに被っていた灰色のとんがり帽子を脱ぎ、実は収納系魔導具だったらしいそこから二冊の本を取り出すと、それらをテーブルに並べました。
分厚く表題もない黒い本と白い本。ヌリア曰く、三日後までにこのどちらか一冊を選んでほしいそうです。
もしかして、様子が変だったのは、これが原因ですか?
はぁ~、なんだか割と厄介事な気がします……。




