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871日目:やっぱり、戻るべきだった気がします……。
八七代魔帝暦二四年・聖女の月第十八日・属性(風)・天気:―
「ティコ、先に進むって……」
石壁を背に座って微睡んでいると、アーシェが私の肩を優しく揺らします。
目を開くと、その言葉通り少し離れた場所で、どこか疲れた様子の王子たちが荷物をまとめ移動の準備を始めていました。
はぁ~、やっぱりあの時、一旦拠点に戻るべきだったのでは?
妨害の可能性を考え、そのまま螺旋階段を下り、昨日から遺跡の新領域を探索してますけど、割と無理がある気がします。
広間に残り、私たちの不在を隠蔽してくれている安楽椅子のミスラと魔術師のミスラさんの幻術もいつまで大丈夫か分かりませんし……。
しかし、ヌリアも策士ですね。最初に希望した調査区画は妨害を想定した囮だったなんて……。




