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824日目:こっちも割と余裕はないんですよ?
八七代魔帝暦二四年・獅子の月第二日・属性(水)・天気:雨
「待って、ティコ先輩! ちょっとだけ助けて!」
午前中に甲種錬金術の筆記と実技試験、午後から汎用魔術論の筆記試験を終えた放課後。
明日の魔導具整備製作Ⅰは試験の出題範囲が広いので、今日は自室で夕食を簡単にすませたあと、集中して復習に取り組もうと思いながら学生寮に戻ってきたんですが……。
談話室の前を通り過ぎようとした瞬間、なにやら切羽詰まった様子のルベルさんにガシッと腕を掴まれました。
そうして、そんな彼女が背にするテーブルの上には、何冊もの教科書や参考書が所狭しと広げられていて……。
はぁ~、しかたありません。こっちも割と余裕はありませんけど、少しだけ試験勉強に協力してあげましょう……。




