灰かぶりのティコ 365日の魔術学校300文字日記

二年生後期（前半）

547日目：また私だけですか……。

　八十七代魔帝暦(まていれき)二三年・天秤《てんびん》の月第二十九日・属性(全)・天気：晴れ

　むぅ……初級降霊術《しょきゅうこうれいじゅつ》に続き、中級薬草学でも私だけ妙《みょう》な課題を与《あた》えられました！

　午前中、中級薬草学の授業があったので、先生に蔓穂蘭《つるぼらん》と月夜草《つきよぐさ》の花が咲き、それを採取したことを報告したんです。

　そうしたら授業後、「今度はこれを育てて、正体《しょうたい》を当ててみなさい」なんて言葉とともに、真《ま》っ赤《か》な親指《おやゆび》大《だい》の種を一粒、手渡されました……。

　ちなみに、栽培に成功し、植物名が分かったら、その時点で後期における中級薬草学の評価は良《りょう》以上を確約《かくやく》してくれるそうです。

　しかし、いったいなんの種でしょうね？　色と大きさもですが、ゴツゴツしていてトゲのある種とか、全《まった》く記憶にありません。

　はぁ～、まずは薬草図鑑《やくそうずかん》を調べてみましょう。