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394日目:一つ貸しですよ?
八十七代魔帝暦二三年・金牛の月第二十九日・属性(炎)・天気:晴れ
今週もこの時間が始まりました。そう、仮説熱力学の授業です。
隣の席へ視線を向ければ、早々と机に突っ伏したアーシェが死んだ魚のような目で見返してきます……。
そうして、軽くこちらへ手を振ると静かに両目を瞑り、そのまま夢の世界へ旅立ってしまいました。
はぁ~、最初の意気込みはどこに消えたんでしょう? 貴女は『ティコ』の進む道が知りたいんじゃなかったんですか?
そんなことを思い出しながら、スヤスヤと寝息を立てるアーシェの頬を指先で軽く突いてみますが、微かに顔をしかめるだけで全く起きようとしません……。
しかたないですね。今日の授業内容はあとで教えてあげましょう。一つ貸しですよ、アーシェ?




