灰かぶりのティコ 365日の魔術学校300文字日記

一年生前期

32日目：魔導杖の変化

　八七代魔帝暦(まていれき)二二年・双児《そうじ》の月第二日・属性(土)・天気：晴れ

　体調はだいぶよくなりました。でも、大事を取って今日まで学校は休みます。

　ベッドで大人しくしていると、隣室の魔術工房からヌリアが不機嫌そうに出てきました。魔導杖《まどうじょう》の調整中のはずですが、どうしたんでしょう？

　というか、大丈夫ですか？　なんだか全体的に煤《すす》けてますけど……。自慢のとんがり帽子とローブは灰色よりダークグレーに近い悲惨な状態ですし。

　心配する私に、相変わらず頑固で苦労しました……、とヌリアは魔導杖へ腹立たしげな視線を向けながら愚痴《ぐち》ります。

　調整が終わったらしい魔導杖は見た目が少し変化しました。

　漆黒の本体に奔《はし》る一条《ひとすじ》の白。これがどんな効果を及ぼすのか、ヌリアの姿を見るとちょっと不安です。