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26日目:ティコの魔導杖
八七代魔帝暦二二年・金牛の月第二十六日・属性(水)・天気:雨
今日は第四屋内運動場で属性魔術の実技実習がありました。
当然、授業では魔導書と魔導杖を使うことになったんですが……。
あの炭と見紛う身の丈ほどの魔導杖へ少量の魔力を流し、軽く振った瞬間――!
――抉れる地面! 消し飛ぶ標的! 突き破られる屋内運動場の壁! 轟音と暴風が去り、空から差す一筋の陽光へ架かる虹!
なんで? いや、なんで! 確かに、適性のある属性魔術に魔導書や魔導杖を使えば、効果と効力は飛躍的に上がります。
そのため、適性属性に限り授業外での魔導書と魔導杖の使用は一定期間禁止されているほどです……でも、だからといってこれは、ない!
当代様はやはりティコです! ってヌリアは泣いて喜ばないで!




