195/971
195日目:好きでなったわけじゃない……。
八十七代魔帝暦二二年・星蠍の月第十二日・属性(闇)・天気:曇り
放課後、マジケットの練習を終え、学生寮へ帰ろうとしたら、深刻な表情を浮かべた例の転校生から二人きりで話がしたいと呼び止められました。
有無を言わせぬ雰囲気にのまれ、その背を追って人の寄りつかぬ校舎裏へ向かうと、彼女はこちらに振り返り、先ほどよりも険しい顔つきで睨んできます。
困惑していると、転校生は瞳の奥に確かな怒りの炎を宿し、一方的な感情を私にぶつけてきました……。どうやら私のこれまでの言動に不満があるみたいです。
「貴女にティコの名は相応しくない!」
そうして、去り際にそう言い捨てた転校生の背を、私は無言で見送ります。
はぁ~、私だって好きでティコになったわけじゃないのに……。




