それはきれいな晩餐だった
れはきれいな晩餐だった、皆がただ食べ物を一心不乱に
食べ、食べ物が運ばれてきてはそれに喰らいつき、食べ物がなくなったら喰うのをやめ、
朝日が昇ると同時に皆が姿を消していく。晩餐の会場には食べ物のかけら一つも落ちてはいなかった。次の夜が来た、どこからともなく表れた健啖家たちは食卓に並んでは、食べ物が現れないのかをいまかいまかと待ちわびている。健啖家たちは待ちきれずに星空の下にある晩餐の会場から室内の板場へとゆっくりと近づいた、すると一つ食べ物が運ばれてきた、健啖家たちはやはり食べ物に喰らいついた、そしてそれがなくなったらもう朝が来ていた、そこでその日の晩餐はお開きになった、各自の帰路につき、ついその直前まで騒がしかったその場所は静かさを取り戻していた。次の夜が来た、またどこからともなく表れた健啖家たちは食卓にならんでいた、最初の晩餐からくらべれば、健啖家たちの数が若干増えていた。食べ物はまだ運ばれてこない、いくら待っても食べ物は運ばれてくる気配がないむしろ遠ざかっていく気配すらする。そこで健啖家たちはしびれを切らし板場にドアを蹴破り怒鳴り込んだ、するとそこには大量の食べ物があった、健啖家たちは大喜びして、ひとつ残らず喰らいつくした、そして食べ物が全部なくなった、健啖家たちはまた夜とともに消えていった。次の夜が来た、健啖家たちはもうそこには食べ物はないことがわかっているから遠く離れた晩餐の会場へと向かっていた。健啖家たちはその緑色の爛れた肌、所々むき出しな骨、飛び出して腐っている眼球の体をまとい、わずかな知性をもとに人間がある晩餐の会場へと足をズルズルと引きずらせるのだった。
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