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明智さんちの旦那さんたちR  作者: 明智 颯茄
心霊探偵はエレガントに〜karma〜
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Time for thinking/10

 崇剛はいつの間にか――、不浄で黄ばんだ聖霊寮の応接セットに座っていた。死んだような目をして、席に座っている人々とを隔てる衝立。


 ある意味、死角で、鋭いブルーグレーの眼光と、ウェスタンスタイルで決めている男の、藤色の髪に天から金の光が入ってくるのを見つけた。


 四月二十九日、金曜日、十三時十四分十七秒以降――

 国立氏が受けた直感――天啓。

 邪神界の大魔王と四天王の話でした。


 神経質な手をあごに当てて、冷静な水色の瞳をついっと細めた。


 神レベルで何かが起きている……。

 非常に大きなことに、国立氏も関係しているという可能性が出てくる。

 本日、四月三十日、土曜日、十二時十五分一秒過ぎのカミエ天使の降臨――

 涼介と瞬の厄落としのための高熱――


 カミエ天使の守護神は夕霧命です。

 夕霧命の了承も降りなければ、カミエ天使は降臨することは赦されていません。

 守護をしている人が、物質界に今現在いないのですから。

 霊界のルールは非常に厳しいです。

 神の許可を得ず、勝手に物質界へ降りてくることは天使も霊もどのような理由があろうとも認められていません。

 そうなると……



 崇剛の意識は再び自室へと戻ってきていた――。ロッキングチェアをゆったりと揺らし、足をエレガントに組み替える。


 少なくとも、私、涼介、瞬、国立氏、カミエ天使の守護神が関係しているという可能性が出てきます。

 すなわち、守護神五人が少なくとも関係している……。



 いつの間にか瑠璃は、百年以上も住み続けている、屋敷の一番東側の寝室にいた――。ベッドから起き上がると、寝起きを待っていたかのように降臨した、戯言天使――ラジュがいた。


 口説き文句に憤慨すると、悪霊払いの札を二百枚作れと言う。また嘘かと思っていたのだが、ラジュはどうやら本気だった。


 手伝えと直談判しようとした時の、彼の言葉が鮮明に蘇った。


『おや? 天使の力では強力すぎて、こちらの世界の建物が壊れ、死人が大量に出ることはまぬがれませんが……。私個人的には構いませんが、そちらでも良いのでしたら、私もやりますよ〜?』

 

 あの長く無慈悲な言葉を、天使なのによくも平然と言えるものだと思って、瑠璃はうんざりすると、現実へと意識が戻ってきた――。


 玉露をすするズズーッという音がまた漂い始めると、魔除のローズマリーの香りが崇剛の長い髪と戯れる。


 天使ひとりが祈りを捧げても、こちらの世界では霊力の余波で建物が崩壊します。

 神でしたら、どのようになるか想像がつきません。

 シュトライツ王国の民衆の暴動には……。

 神五人が少なくとも関わっているとなると……。


 遠い異国の話だが、先進国家で新聞の一面に出てくるような大ニュースが、民衆の暴動。その結末を、千里眼の持ち主である聖霊師は予測した。


「シュトライツ王国は崩壊する――という危険性が98.78%で出てくる」


 針のように鋭く細い戰慄が、全身を駆け抜けたようだった。ロッキングチェアの揺れはさっきとは変わらず、ゆったりと揺れていた。


「ですが、なぜ、シュトライツ王国の崩壊が私たちと関係するのかがわかりません。これから、何が起きるのでしょう?」


 経済の余波か。しかしそれならば、崇剛のまわりにいる人々をピンポイントで巻き込むような出来事では、またズレが出てくる。


 だが関係しているのは確かだ。重要性はかなり色濃く、冷静な頭脳に土砂降りの雨のようにザーッと流す。本や新聞、人から聞いた話。たまに行く中心街で不意に耳に飛び込んできた会話や情報など。


 シュトライツ王国――

 千七年前から続く、フェティア王朝――王族制の国です。

 アスタルカ大陸の西に位置し、花冠国とは一万五百四十七キロも離れています。

 貿易が盛んで科学技術も発展しており、さらには宗教も盛んな国です。

 多数の宗教が入り混じっていますが、国民の大多数はミズリー教徒です。

 正式なお名前はわかりませんが、《《ダルレ》》という二十九歳の男性が教祖をしています。

 ですが……


 ロッキングチェアを動かす、茶色のロングブーツはふと立ち止まった。

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