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明智さんちの旦那さんたちR  作者: 明智 颯茄
歌を作ってみた
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ナンパなサイケデリック:焉貴の場合

 颯茄は部屋のドアを開けて、あちこちにキャンバスが置かれているのを眺めた。


「最近、こっちにこないけど、創作活動順調?」

「そうね。楽しくなってさ。あんまり子育てもしてないね」

「そうか。でも、これだけ配偶者がいるから、甘えられるところは甘えてもいいよね。私も音楽三昧で、子育てあまり関わってないし」


 絵具だらけの手を止めて、焉貴の異様に輝く瞳がこっちを見た。


「何? お前」

「そうそう。焉貴さんをモデルにした歌を書いてきたんだけど、聞く?」

「いいよ」

「じゃあ、再生するね」


【ナンパなサイケデリック】



街で見かけた男の子

なかなかいいじゃん

ねえ そこの彼

一緒に空飛んじゃわない?


なになに? 俺が男だって

そんなの関係ないじゃん

楽しければいいんだよ ほら行こう


冴えて 冴えて サイケデリック

光も色も変わる 景色も移ろって

俺はいつだってそうしてるから

だから一緒に飛ぼう



キラキラと光る海に

アイスクリーム屋

そう デートね

やってみて楽しくなんない?


なになに? まわりが気になるって

そんなのどうでもいいじゃん

幸せならいいんだよ 手つなごう


咲いて 咲いて サイケデリック

くるり回って落ちて 頬を風が切って

地面にぶつかる前に急上昇

スリルマジ感じる



飛んで 飛んで サイケデリック

もっと自由にいこう 二人きりの世界

恋に出会って甘いキスして

気分マジ最高



 曲が終わると、焉貴が話し出した。



「俺さ、マジで結構いろんなやつに声かけた」

「本気でやってた!?」


 結婚していたという身なのに。この夫はいつも破天荒なのである。


「けどさ、大体断られちゃうんだよね。彼女いるからってさ」

「まあ、普通一対一だから、そこに他の誰かが加わるって考えはないのかも」

「でもさ、声かけたといえば、孔明じゃん」

「そうだね。孔明さんが燿さんに声かけたから、今があるんだもんね」


 颯茄がやっていたゲームのキャラにそっくりな人と、孔明は街で出会ったのだ。どんな策略を使ったのかは知らないが、あっという間に同棲が始まって、今に至るのだ。


「あいつの詩でもよかったんじゃないの?」

「いやいや、空飛んだりはしないでしょ。普通にカフェに行って話をするだと思うよ」

「話なんてさ。何しててもできんだから、わざわざカフェじゃなくてもいいじゃん」

「そう思うところが、焉貴さんなんだよね」

「そう」

「これね。焉貴さんのエキセントリックさを出すために、曲調かなり途中で変えてるんだよね」


 颯茄はかなり駆使して、様々な楽器を使っていた。焉貴は落ちてきたしまったボブ髪を、頭を振って両脇にわけた。


「あぁ、そういうこと。色々変わると思ってたけど、俺のイメージなのね」

「どうしても、そういう切り替えの忙しいところを出したかったんだ」

「お前もいろいろ考えてんのね」

「焉貴さんも絵描くとき、いろいろ考えるでしょ?」

「考えるね」


 飾られている絵から、颯茄は視線を外し、焉貴をじっと見つめた。


「私はね、思うんだだけど」

「何?」

「音楽を絵に例えるなら、メロディーラインを作った時が、デッサン。そこにコードをつけた時が配色だと思うんだよね」

「あ、そう。そういう感じ?」

「そう。絵はあまり描かないけど、学校ではやったから、そう例えられるよ」

「まあ、お互いあまりやりすぎないようにね」

「そうだね」


 同じ芸術家同士。話も弾むのだった。

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