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明智さんちの旦那さんたちR  作者: 明智 颯茄
歌を作ってみた
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やる気な妻

 今日もおいしい夕食を終え、お茶の時間となっていた。颯茄は水をガブっと飲んで一息つく。


「実は、音楽もやることになりまして、作曲作詞をすることとなりました」

「二足のワラジ」


 夫たちが声をそろえた。妻の仕事は音楽と小説。細かくするともっと多くなる。作詞をし、作曲をし、歌を歌う。しかも最近はアレンジまでして、パソコンで音楽を作っているのだ。


「そうなんです。蓮と光さんも入ってユニットを組むことになりました」

「三人だけなのか?」


 張飛が最後の肉を口の中へ入れた。


「いえいえ、作曲家だけでも新人の方も入れて、二百人います」

「えれぇでけぇプロジェクトだな」


 ナイフとフォークを置いて、明引呼はため息をついた。


「私もびっくりしてます。そんなにたくさんの方々に支えられるとは思っていなかったので。一応、フロントマンなので、期待に添えるようにやっていきます」


 妻は居住まいを正して、


「というわけでして、まずはみんなの歌詞を作って歌を作っていくので、出来上がったら聞かせますので、よろしくお願いします」

「え〜? 颯ちゃん作るの?」


 孔明は甘い声色で言いながら、髪を指ですいていた。


「できます。シンガーソングライター目指してた時代があったので、経験はゼロではないです」

「それは楽しみだな」

「いいんじゃない?」


 夫たちが口々に言う。月命は緑茶をすするのやめて、


「僕はどのように書いていただけるんでしょうか?」

「それはまだ決めてないので、答えられないです」

「僕はどんな曲でもどんと受け止めます」


 貴増参は柔らかく微笑んだ。颯茄は照れたように頭に手をやる。


「ありがとうございます」

「俺は何を書かれるんだろうな」


 独健は珍しく鋭い視線を遣した。


「あのこと書こうかな?」

「どのことだ?」


 夫たちは顔を見合わせたが、妻はさして気にしもしなかった。


「できてからのお楽しみです」

「俺は待っている」


 腕を腰のあたりで組んで、夕霧命は目を細めた。


「夕霧さんのは色香漂うものにします」

「何、それ?」


 椅子の上で膝を抱えていた焉貴が、異様に光る瞳を向けてくる。


「ただのイメージです。ですが、それが大切になるんです」


 抹茶を飲んでいた燿は、静かに話に入ってきた。


「俺のも書くの〜?」

「もちろんです。どんなのがいいか考え中ですが」

「俺のは難しんじゃないか? 来たばかりだからな」


 新入りの雅威に言われたが、妻は得意げに微笑んでみせる。


「それでも、書けることはあると思うので、みんな平等ということで作ります」

「私のものも書いてくれるのですか?」


 光命の水色の瞳が向けられた。妻はにっこり笑う。


「書きますよ。蓮のもです」


 さっきから黙っていた蓮が、最後に厳しいことを言った。


「変なの書いてきたら、どうなるかわかってるな」

「はい。散々叱られた挙句、やり直りです」

「そうだ。いいな」

「それでは、みなさん、お楽しみに〜!」


 妻が言うと、夫たちから拍手が巻き起こった。

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