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明智さんちの旦那さんたちR  作者: 明智 颯茄
妻の暴走3
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ラスボスを倒せ!

 この世界の人々の魂を食らう悪魔。やつらと対峙するは、私たち特殊能力を神に与えられた夫婦十一人である。


 巧みな罠も、強靭な攻撃も何もかも掻い潜りぬけて、最終決戦を迎えた。向こうの群が遠くで横一列になって並ぶ。緊迫した時間だ。


 私の能力は魂の浄化。悪に染まった心の穢れを拭い去り、神の道へと戻す役目。旦那たちの魔法には属性がついている。

 

 蓮は風。

 光命は水。

 夕霧命は大地。

 焉貴は変化へんげ

 月命は月。

 孔明は太陽。

 明引呼は雷。

 貴増参は時(時間)。

 独健は火。

 張飛は破壊。


 それぞれの特性を使って、作戦を立てて今日を迎えた。高鳴る心を沈めようと、私はみんなへ振り返った。


「準備はいいですか?」

「いい」

「じゃあ、決戦です!」


 いざ、勝負が始まった。あっという間に大混乱となる戦場。陣地に残っているのは、治癒担当の月命。時間を自由に操れる貴増参。そして、変化というフリーダムな魔法を使える焉貴は、大鎌を肩にかけたまま、指をパチンパチンと鳴らし、何かの魔法を発動していた。


 その度に、敵軍でおかしな動きが起きるようになった。最初は、


「きゃあああっ!」


 という女性の悲鳴だった。それが何度か起きると、次は、


「うへへへへっ!」

「お前も好きだな」

「お前だってそうだろう」


 敵軍の男たちがデレデレの顔をし始めた。私はおかしいと思い、一旦全員を呼び戻した。


 敵の陣地で間近に見ていた蓮が焉貴に聞いた。


「何をした?」

「敵の武器と俺のモン入れ替えたの」


 それにしては、少々反応がおかしい。


「何を入れ替えたんですか?」


 妻が聞くと、焉貴は白状し始めた。


「電マ、バイブ、ローター、エロ本……?」


 夫たちの何人かがあきれたため息をついた。


「お前のポケットは色情魔か……」


 しかし、スーパーエロ一号――光命は右手を上げて言った。


「それでは、電マを私にもください」


 戦っている最中だというのにと、夫たちがさらにあきれると、負けたがり屋の月命が凛とした澄んだ声で言った。


「それでは、そちらで僕を攻めてください。負ける可能性が高くなりますからね」


 妻は大慌てて止めに入った。


「いやいや、命かかってます! 真面目に戦ってください」


 明智軍は真剣勝負の時に笑いを取れるほど、柔軟な軍であった。

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