表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明智さんちの旦那さんたちR  作者: 明智 颯茄
リレーするキスのパズルピース
164/962

魔法と結婚/7

 クエスチョン二。


「明引呼はどうなんだ?」

「……………………」


 蓮は考える。わざと横文字を入れて笑いを取ってくる男。兄貴と慕われる人物。だが、蓮にとってはどこが面白いかやはりわからず、まわりが急に笑い出すという現象を巻き起こす明引呼。


 独健は心の中で、頭を抱え込んだ。


(いやいや! だから、どうして、黙るんだ! どういうことだ?)


 ただただ無言。無表情、無動。独健の苦悩ははまだまだ続く。


「わからない」


 今度は独健が固まった。


「え……?」

(ここも……?)


 蓮は少しかがみこんで、銀の前髪を鏡に映して、乱れがないかチェックする。


「気づいたら、そうなっていた」

「そうか。パパ友とかでも何でもなかったんだな?」

「知らなかった」


 感覚でチャチャっと片付けた独健は、気を取り直して、この人の名を口にする。


 クエスチョン三。


「じゃあ、孔明は?」

「…………………………………………」


 天才軍師。策を成功させるためならば、何でもする。だが、蓮から見ると――と、ここで独健が声を荒げて、蓮の思考を強制終了。両腕を上からバンと机を叩くようにした。


「ここは沈黙するところじゃないだろう! 他のやつらから聞いた。お父上から、これ以上結婚するのは控えなさいと言われてた。それなのに、落ち込んでる焉貴を救うために、孔明は作戦……いや、策略だな、それをして、お父上に一番近い立場にいる、お前に突然……そ、その……キっ、キスをした……んだろう?」


 その家長は、蓮の義理の父親。

 家長を説得できる可能性が高いのは、蓮を攻略するになる、だと孔明は判断した。だから、孔明は面識が全くなかった蓮にいきなりキスをしたのだ。


 蓮は天使のように綺麗な顔は事実を知って、怒りで歪んだ。


「っ!」


 息を詰まらせた蓮の前で、独健は手をフルフルして、そう快に突っ込んだ。だが、恋愛感情の類は、突っかかりまくりだった。


「いやいや、今頃気づくなって! それで、お前がこ……恋……恋に落ちたって、焉貴が言ってて、お前が自分からお父上、いや、正確には義理のお父上に直談判しに行ったんだろう? それはたぶん、孔明に動かされたってことだと、俺も思うんだが……」


 さすが、神の申し子。天才軍師。神業のごとく恋の勝利をつかんでいた。新参者の自分が行っても、家長に話すどころか、下手をすれば門前払いである。


 蓮は大親友の焉貴が落ち込んでいるのは知っていた。

 それでも、蓮は最初動かなかった。家長の言葉は絶対だからだ。

 孔明はデジタル頭脳で、次の策を投じる。蓮を動かすための。

 それは、自分のとりこにして、蓮が孔明と結婚したいと思わせることだ。

 蓮は孔明にキスをされ、恋をしたのだ。

 そうして、蓮は自分のこともあるが、焉貴を救おうと決心した。

 すなわち、孔明の思惑通り、蓮が自分から義理の父親を説得しに行った。

 義理の父親は厳格ではあるが、きちんと筋が通っていればとても優しい人物。

 小さい頃から、育ててきた義理の息子が誠実に頼めば、耳を貸すだろう。

 そうして、孔明が仕掛けた通り、家長からお許しが出たのである。

 明引呼が先にくるはずが、孔明がこうして割り込んだのだ。


 孔明という天才軍師に大敗した蓮。完全に劣勢になった彼は、悔しそうに唇を噛み締めた。


「っ!」


 すらっとした人の両肩を、独健は手でどうどうと言うようになだめた。


「いやいや、ここはもう怒らないでいこう。大人なんだからな」

「いい。許してやる」


 蓮は怒ったら負けだというように割り切って、無理やり優勢になったように、態度デカデカで言い切った。独健があきれたため息をつく。


「お前、本当に態度でかいよな?」

「性格だ」


 認めた上で、直す気はないようだった、蓮には。独健まだまだ他に聞きたい人がいるので、チャチャっと質問。


 クエスチョン四。


「じゃあ、次だ。るなすは?」

「…………………………………………」


 自分と違って、いつもニコニコしているあの男。あのお笑いは少しはわかる。わざと負けるものを選んで、やはり失敗してしまいましたか〜と言って、喜ぶという、マニアックな笑い。しかも、蓮は何度か吹き出してまで、笑ったことがある。


 だが、独健に問いかけられた理由が見当たらない。若草色の瞳は戸惑いという視線を、銀の長い前髪に送る。


(いやいや、この妙な間は、だから何なんだ?)


 とりあえず、蓮はとっかかりとなるものを見つけてきた。


「あれは……子供の担任教師で親友だった」


 独健がさっきから聞きたいのはそこではなく、もっと深い関係を知りたいのだ。


「それで、そのあとどうして、こうなったんだ?」

「気づいたら、そうなっていた」


 あの邪悪の象徴のようなヴァイオレットの瞳を思い出して、独健は身震いした。


「あ、あぁ、そうか。そこは、策略はなしなんだな」

「ない」


 独健には次々に罠を仕掛けてくる月命。だが、蓮にはまったくしてこないようだ。あの負けるの大好き策士も、人を見て、きちんと罠を仕掛けてくるようだ。


 そして、どうも何かをボケ倒しているような蓮に、独健は策士三人目について問いかけてみた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ