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大事な大会には、最高の状態で挑むべき。――10
一週間後。
セントリア近辺にある従魔士学校から選抜された学生たちが、セントリアにある競技場に集結していた。
周囲360度を観客席に囲まれた競技場は、イタリアのコロッセオを彷彿とさせる。
観客席は満員だ。
「従魔士のスキルは常に磨かれ、先達から後進へと受け継がれておる」
競技場の中心にある石造りのステージで、エルドレド学長が開会宣言をしていた。
ステージに立っているのはエルドレド学長だけではない。中型犬サイズの、紫色のウサギもいる。
あのウサギは『サイキックラビット』というモンスターで、仲間とテレパシーでやり取りし、それぞれが見た景色、聞いた音声を、立体映像として投影する能力を持つ。
あのサイキックラビットは、エルドレド学長の開会宣言を、ほかの3つの会場に中継するためにいるんだ。
「きみたちは、日々の修練と、たゆまぬ努力の結果として、ここに立っておる。その成果を存分に発揮し、我々に従魔士の未来を見せてほしい」
エルドレド学長が両腕を広げた。
「ここに、レドリア学生選手権の開催を宣言する!」
ワッ! と競技場に歓声が沸き起こった。




