表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/219

結局のところ、やる気があるやつは応援したくなるのが人情。――15

 明らかな劣勢のなか、レイシーが、反撃のための一手を打った。


「リーリー、『ギフトダンス』!」


 レイシーに指示されたリーリーが、空中でクルクルと舞いはじめる。


 これこそが、エイシス遺跡で手に入れた『魔法のスクロール』により、リーリーが修得したスキルだ。


「なんのためにヒラヒラ踊っているのかわからないけど、最後までガンガンいくからね! 『フェザーショット』だよ、ガーちゃん!」

『クワァッ!』


 だが、ギフトダンスの発動には6秒間のチャージタイムが必要となる。それまでにピートが倒されたら、レイシーの勝ちの目は(つい)える。


 ケイトは、その勝ちの目を、ガーに(つぶ)させにいく。


 さらに、


「ケロちゃんももう一発、ウォーターショット!」

『ゲロッ!』


 ピートの弱点である水属性魔法スキルの準備を、ケロにさせた。トドメを刺すつもりだ。


 チャージタイム明けを待つふたり。


 ステージ上に漂う緊張感。


 先に動いたのはガーだった。


『クワァッ!』


 矢のように放たれる藍色の羽。


 物理攻撃スキル『フェザーショット』が、ピートを襲う。


『キャウンッ!』


 苦しげに鳴くピート。


 HPはもはや1/2以下だろう。ケロのウォーターショットを食らえば、間違いなく戦闘不能になる。


「あたしの勝ちだよ!」


 ケイトが自分の勝利を確信するなか、


「いえ、まだわかりません」


 レイシーは諦めなかった。


「間に合いましたから」


 レイシーの言葉の意味がつかめなかったのか、「間に合った?」とケイトが(いぶか)しげに首をかしげる。


『リィ!』


 レイシーが示唆(しさ)していたのは、リーリーのギフトダンスの発動だ。


 踊り終えたリーリーが両手を掲げると、ピートの体が緑色の光に包まれた。


「スピードタックル!」


 ギフトダンスの発動を確認するやいなや、レイシーが声を上げた。


 いまにもウォーターショットを放ちそうなケロに、指示を受けたピートが猛スピードで突進する。


『ゲロォッ!?』


 スピードタックルを食らったケロの反応は、明らかに先ほどとは異なるものだった。突進の勢いで宙に浮かされたケロは、目玉が飛び出すほどに目を見開いている。


 ケロの異変に、ケイトがメニュー画面を確認し、ギョッとした。


「ダメージが増えてる!?」


 ケイトが驚くのも無理はない。スピードタックルによって与えられたダメージが、約1.4倍になっていただろうから。


「バイト!」


 ケイトが驚いているあいだも、レイシーは指示を絶やさない。先ほどと同じようにバイトへ繋げる。


『ガゥッ!』

『ゲロォ……ッ!!』


 その一撃がトドメとなった。ウォーターショットを放てないまま、ケロが魔石へと姿を変える。


 信じがたいものを見るように、ケイトが呆然とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ