表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/219

結局のところ、やる気があるやつは応援したくなるのが人情。――11

 それからひたすらアクセルとシャドーヴェールを使い、リーリーが無傷なまま、俺たちはメタルゴーレムを倒した。


 ロードモンスターから得られる経験値は多く、リーリーは10レベルに、クロは経験値10倍の効果も(あい)まって、29レベルになった。


「レイシーの指示、よかったぞ」

「本当ですか!?」

「ああ。判断が的確で迅速(じんそく)だった。見ていて危なげなかったよ」

「えへへへへ……嬉しいです。ロッドくんにそう言っていただけると、自信が湧きます」


 レイシーが、むん! と力こぶを作る真似をする。


 可愛らしい仕草にホッコリしつつ、俺は大部屋の奥にある扉を指差した。


「あそこが目的地だ。行こうぜ」

「はい!」


 (うなず)くレイシーを(ともな)い、俺は扉まで歩いていく。


 ゴゴゴゴゴ……と自動的に開いた扉の先には、小部屋があった。


 小部屋の中央には宝箱があり、その向こうには台座が見える。


 俺とレイシーは小部屋に入り、宝箱を開けた。


 俺は宝箱に収められていたアイテムを手にとり、掲げる。


「これが、リーリーの真価を発揮するための必須アイテムだ」

「『魔法のスクロール』ですか!」


『魔法のスクロール』とは、特定のモンスターにスキルを修得させるアイテムだ。


 修得させられるスキルはスクロール(ごと)に異なり、使用可能なモンスターも変わる。


「さ、リーリーに読ませてやれ」


 俺が『魔法のスクロール』を手渡そうとすると、レイシーは躊躇(ためら)いを見せた。


「けど、『魔法のスクロール』は、一度(いちど)使用すると効力を失うんですよ? わたしが使ってもいいのですか?」

「そうじゃないと、ここまで来た意味がないだろ?」


 肩をすくめ、「それに」と、俺は台座を示す。


「俺にも目的があったからな」


 台座の上には、ふたつの魔石が置かれていた。


「もしかして、エイシス遺跡を攻略すると、従魔を手に入れることができるのですか?」

「どちらかひとつだけなんだがな」


 俺は人差し指を立て、提案する。


「ふたりで攻略したから、報酬は山分け。レイシーは『魔法のスクロール』で、俺は従魔――それでどうだ?」


 レイシーがコクリと首肯(しゅこう)した。


「わかりました。そういうことなら、受けとらせていただきます」


 レイシーが晴れやかな顔で、魔法のスクロールを受けとる。


「リーリー、読めますか?」

『リィ』


 レイシーが『魔法のスクロール』をリーリーに読ませるなか、俺は台座に歩みよる。


 すると、魔石の上に文字が浮かんだ。




 アーマーファイター:20レベル


 ゴーストナイト:20レベル




「わあ! アーマーファイターですか!」


 浮かんだ文字を目にして、レイシーが感嘆(かんたん)する。


 鋼属性のモンスター『アーマーファイター』。


 STRとVITに優れ、MND、AGI、DEXも合格点。


 物理攻撃スキルを中心に、自己強化スキル、『麻痺』発生スキル、相手の弱体化(デバフ)スキルを用いる物理アタッカー。


 ステータスのバランスがよく、修得するスキルの種類も豊富な、優良モンスターだ。


 もう片方の『ゴーストナイト』は、闇と鋼、ふたつの属性を持っている。


 STRとDEXは秀逸(しゅういつ)だが、VIT、INT、MNDが低め。


 一応、物理アタッカーとして通用するステータスだが、修得するスキルとの、かみ合いが悪い。


 ゴーストナイトが修得する物理攻撃スキルは、クセが強く、扱いにくいんだ。


 魔法攻撃スキルは優秀なものを覚えるが、ステータスが物理アタッカー向きなので、本末転倒(ほんまつてんとう)としか言えない。


「ロッドくんがエイシス遺跡攻略(こうりゃく)を目指したのも納得です! こんな優良モンスターが手に入るんですから!」

「オマケみたいなもんだよ。今回の目的は、あくまでもリーリーの真価を発揮する条件を満たすことだからな。レイシーに頼まれなかったら、エイシス遺跡を攻略するのはもっとあとになっていた」

「え、えと……それって、わたしのために攻略を前倒ししてくれた……ということでしょうか?」

「そうだけど?」


 頭の老化を防止するトレーニングみたいに、両手の指先をモジモジさせながら、レイシーが尋ねてくる。


 その様子を不思議に思いながら答えると、レイシーの頬に赤みが差した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ