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離れていても力になれるって、案外本当。――5

 ディメンジョンキマイラの輝きが爆発的に増加し、光エネルギーの奔流(ほんりゅう)となって解き放たれる。


 瞬間、俺は指示を出した。


「ユー、エクスディフェンス!」

『ムゥ!』


 ユーがロングソードを盾のように構えた。


 ゴーストナイトのステータスは火力(アタッカー)向きで、マルと違って防御面が心許(こころもと)ない。そのうえ、現状、バーサクによってHPが1/4になっている。『防御態勢』にならない限り、エナジーバーストを耐えられない。


 ユーが『防御態勢』をとった直後、荒れ狂う光エネルギーがドーム状になって、ユーとマルをのみ込んだ。


『ムゥ――ッ!』

『キュウ――ッ!』


 ビックリしたような、ユーとマルの鳴き声が聞こえる。


 光の奔流は地響きを立てながら、ドーム内の有象無象(うぞうむぞう)を例外なく蹂躙(じゅうりん)した。


 やがて光のドームがしぼんでいき、のみ込まれていたユーとマルが、破壊の嵐から解放される。


 俺はすぐさまメニュー画面を確認した。


『防御態勢』のユーのHPは当然減ってないが、マルのHPは3/4も削られている。流石の破壊力だ。


『GYAGYAGYAGYA!』


 さらにエナジーバーストの追加効果で、ディメンジョンキマイラの全ステータスが10%上昇する。


 なんのデメリットもなく、範囲攻撃と自己強化を行った。やはりエナジーバーストはぶっ壊れスキルだ。


 スタンボディーの麻痺も発動しなかったし、流れは完全に向こうにあるな。


『『『『『『ムゥ――――ッ!』』』』』』


 ユーがエナジーバーストを食らったため、ベンジャーレイスの『報復攻撃』が発動。無数の小さな幽霊が出現し、ディメンジョンキマイラを滅多斬(めったぎ)りにする。


 が、高レベル+恵まれたステータス+自己強化済みのディメンジョンキマイラには、ほとんどダメージが入らず、HPバーは1/20も削れていなかった。


 バーサクでユーのSTRは3倍になっているんだが……ホント、ディメンジョンキマイラの性能はえげつねぇなあ、まったく。


『キュウ!』


 渇いた笑みを漏らしていると、マルがハイヒールを発動させた。


 神々(こうごう)しい光がマルを包み込み、HPが1/2回復する。


『GYAGYAGYA……!』


 HPを回復したことでヘイトを稼いでしまい、ディメンジョンキマイラのターゲットがマルに定められた。


 先ほどエナジーバーストを食らった際、『攻撃したり受けたりするたび、STR、INTが30%減少し、VIT、MNDが30%上昇する』固有アビリティ『温厚(おんこう)』が発動し、マルの防御性能は上がっている。


 しかし、そんなマルでも、ディメンジョンキマイラが相手では分が悪い。集中攻撃されては倒れてしまう。


 そこで俺は対策を講じる。


「マル! ユーの背後に避難しろ!」

『キュ!』


 マルがビシッと敬礼し、トテトテとユーの背後に移動した。


 これでマルは、『防御態勢』のユーを盾にすることができるため、範囲攻撃であるエナジーバースト以外はやり過ごせる。


『防御態勢』は30秒で解除されてしまうから、その先は新たな作戦を立てないといけないんだが。


『GYAGYAGYA……!』


 などと考えているあいだもディメンジョンキマイラの攻勢は緩まない。


 ディメンジョンキマイラが、ガパァ、と大口を開け、その口先に岩石が生じ、徐々に大きくなっていく。


 土属性の魔法攻撃スキル『ロックブラスト』。チャージタイムは5秒、クールタイムは10秒。相対的時間軸の効果で、実質チャージタイム4秒、クールタイム7秒だ。


 育っていくロックブラストの岩石を、俺は(にら)み付けた。


 みんながゲルドを倒すまでは我慢の勝負だ! 頼むぞ、みんな!

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