第一話:高校受験に落ちた?!
俺、神本竜哉は高校受験に落ちた。
衝撃的だった。合否を伝える通知を開いて不合格の文字を見たときは、
目まいがした。
これからどうなるんだ?
クラスの中で落ちたやつは俺くらいのものだろう。
なんせ、俺のクラスは頭のいいやつが多かった。俺は、クラスでビリか
ビリから2番目辺りだろう。
そこまで学力が無い俺でも、まさか高校受験に落ちるとは
夢にも思わなかった。
だが、そんな俺にも、救いの手が差し伸べられた。
ある日、1通の手紙が俺宛に届いた。手紙の内容は驚くべきものだった。
手紙は魔戦術学高校というところからのものだった。
手紙には、なんと受験も何も無しでこの高校に入学できるというものだった。
やった!地獄に仏とはまさにこの事だ!!
けど、何故こんな手紙が俺に届いたんだ?
手紙には、
『あなたは、本校の生徒候補の1人として選ばれました。』
と書かれている。
こんな、学力が全く無い俺を選んだ?どうして?
俺の代わりなど、そこら辺にたくさんいてそうだ。
だが、魔戦術学高校というところは俺を選んだ。
しかし、いつのまにかそんな疑問は消えていた。
何よりも、高校に行けるという事がとてつもなく嬉しかった。
そして、入学の日は来た・・・。
ピリリリリ・・・。
目覚まし時計の音が鳴った。
俺は少しばかりまだ眠かったが、無理やり目を開けて目覚ましを止めた。
そうだ、今日から高校生活だ。
俺は布団から起き上がり、服を着替えた。
制服は、魔戦術学高校に行くと決めて入学手続きの場所に行ったら
もらえた。
今思うと、手続きをした場所は変なところだった。
廃虚と化した建物の中でひっそりとやっていたのだ。
何故だ?学校でやればいいじゃないか。
何故わざわざあんなところを?
今考えても仕方がない。とっとと身支度を済まそう。
制服に着替えると朝食を食べに1階に降りた。俺の部屋は2階だ。
朝食を食べ終えて、身支度も全て済ますと、
俺は靴を履いて鞄をを持ち、外に出た。
魔戦術学高校とは、随分とおかしなところにあった。
電車で遠くの駅に行き、そこから近くの山の中の道を通る。
学校は山の中・・・それも奥深くにあった。
「何でこんなメンドーなところにあるんだよ・・・。」
と、俺は独り言をつぶやいた。
俺は駅へと歩きだした。
俺の家から駅までは結構近かった。歩いて5分程で着く。
駅に行く間、魔戦術学高校のことを、どんな高校か
想像していた。
山の奥にある学校・・・。古くさそうだな・・・。
駅に着き、電車に乗った。
ここから目的の駅までは、30分ほどかかる。
俺は眠かったから、電車の中で少し寝ることにした。
目的の駅は終点だ。
どうせ着いたら起こしてくれるだろう。
そういう思いもあり、俺はすぐに眠りについた。
――起きた。
どれくらい寝たのか?かなり寝た気がする。
だが、時計を見てみると25分くらいしか眠ってなかった。
ちょうどいい。もうすぐ着くだろうし。
俺は伸びをした。
不思議なことに、俺のいる車両には、俺以外誰もいなかった。
さらに、そのとなりの車両にも誰もいなかった。
「誰もいない・・・。こりゃいいや!」
俺は周りに誰もいないので、大声で言った。
目的の駅に着くと、目の前に山が見えた。
手続きの時にもらった地図も、目の前の山に入るように指示されている。
歩いて5分程。山に入る入り口の前まで来た。
「ここ・・・だよな?」
俺はためらった。何故なら、その道は長年誰にも使われていないようだったから。
全く掃除などがしていない。
この道を通るのか?
熊や蛇とか出てきそうじゃねーか!
だが、他に入り口は見つからず、俺はその道を行く事にした。
道はくもの巣や落ち葉、キノコだらけだった。
その道を進んでいくにつれて、不安の気持ちはどんどん大きくなっていく。
こんなところに住んでいるやつなんて、変人しかいねーだろ!
だが、それでも俺は進んだ。およそ10分ほど歩いた。
木々が生い茂る森の出口に着いた。
森を出ると、そこには大きな建物が建っていた。
学校だ。
信じられない・・・。
こんな山の真っ只中にこんなすばらしい学校があるなんて!!
そこら辺の普通の高校よりもきれいでしっかりしていた。
校門もちゃんとしていて、
まるでお坊ちゃまやお嬢様が通いそうな学校の外見だ!
「お・・・俺・・・、本当にここきて良かったのか・・・?」
あまりの驚きに、つぶやいてしまった。
しかし、本当にそう思う。
俺は昔から私立などの学校には、1歩も足を
踏み入れたことは無かった。
無論、学力が無いせいだ。
俺は感激のあまり、しばらく校門の前に立っていた。
ハッとして腕時計に目をやった。
「ヤベッ!もうこんな時間じゃねーか!」
俺は急いで校門をくぐり、校舎の中へと入っていった。
校舎に入ると、俺は手続きの時に買った上靴に履き替えた。
履き替えて下駄箱のところから出ると、1人の男とばったりと会った。
先生だろうか?
その男は30代前半くらいで、体は少しやせ細っていた。
髪はもうてっぺんのあたりが薄くなってきていて、
肩の辺りまで伸ばしていた。
レンズが丸い眼鏡もかけていた。
そして、春だというのに、
何故か茶色い毛皮のコートを着ていた。
その男は俺の方を見ると、うっすらと笑った。
俺はその男と目を合わせると、立ち止まった。
気味が悪い。なんだ?こいつ?
「・・・ようこそ闇の世界へ・・・。」
「え?」
何か言ったか?声が小さくて聞こえなかったぞ?
「新入生の教室は3階だよ・・・。
早く席についとかないと、初日そうそう遅刻になるよ・・・。」
「あっ!そうだった!早く行かねーと!」
俺はその男に言われ、急いで階段に向かった。
階段は下駄箱の前だ。
俺は1段飛ばしで階段を上がっていく。
なんなんだあいつ?まさしく変人だったな・・・。
俺はそう思いながら、階段を上って3階へと向かった。
これから、新しい高校生活が始まる。
あんまりおもしろくなかったらすみません・・・。