表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

授業は異世界でも続く

自分の能力を理解することが、成長への第一歩。


俺の能力は、右手に掴んだものを消滅させ、なんかうまいことすると再出現させる能力らしい。


「まずは自分の能力をコントロールできるようになりなさい」


と星の婢は言った。


「消したいものだけを消して、また出したいものだけを出せるようになりなさい」


というわけで俺は、婢の研究室で小物を握っては手汗で濡らす作業をしていた。


消そう消そうと思うと、不思議なことに消えないものだ。


逆に、目についたものをパッと掴むと上手く消せる。


そのことに気づいたのは、ブンブンとうるさい羽虫を潰そうとして、跡形もなく消してしまったときだった。


なんかの拍子にまた手から出てきたらやだなぁ。


杯をなにげなく手に取ったり置いたりしていると、婢に呼ばれた。


「お前、夕餉にせぬか?」


もうそんな時間か……と思い椅子から立ち上がると、ふっと体の支えが消えた。


椅子が無かった。


「あー……」


「なんじゃいらんのか?」


「今行く!」


椅子のことは後で考えればいいか。


俺は虫が突然出てこないように念入りに手を洗った。


「調子はどうだ、力の扱いには慣れたか」


「全然思い通りにいかないな」


スプーンでシチューを口に運んでいると、急にスプーンが消えた。


深くため息をついて食事をやめて皿を返そうとすると、左手に握られたスプーンがあるのに気づく。


どうやら注意を向けると消え、どうでもよくなると戻ってくるらしい。


右手の物が消えて、左手から戻ってくるらしい。


掴めてきたが、消そうと思ってないものが不便すぎる。


そこで逆に(スプーン消してやる……)と念じながらシチューを食べてみる。


すると、消えない。


完全に理解した瞬間である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ