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幕間 そのいち
高校の教室。5時間目。
お腹いっぱい食べた者が睡魔にいざなわれる時間。
右島優はいともあっさり屈服した。となりの席の男子である。
それにしても大胆過ぎる熟睡っぷりである。
「じゃあここを読んでもらうのは、斉藤」
私の名が呼ばれる。
英語の教科書を読み上げると、先生は満足げに頷いた。
次に指されるのは優だし、起こした方がいいよね……?
新しく覚える単語の説明を先生がしているうちに、私は優の肩を揺さぶる。起きなさいよ。
しかし起きる気配はない。
なぜかこの男、右手にリコーダーのようなものを握っている。
その手はびっしょりだ。手汗にしてはひどすぎる。
練習まったくしないでリコーダーのテストを受ける夢でもみているんだろうか。
のんきなやつ。