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神命を担う者 ~紅瞳の探究者~  作者: 甘路
第1章 叡智の破片
9/12

憧れの場所

一か月くらい前、僕たちは病院を退院した。

リン先生が暇つぶしがなんとかって言って泣いてたけど何だったのだろう。

今度エルザさんにでも聞いてみよう。


それはそうと退院してから変わったことがある。それは僕が料理をしているということだ。

あの魔鬼との一戦で母さんは左手を失った。だからあれからは僕が料理を作ってる。

最初はなれなかったけど今では日常になりつつある。


「母さん!お待たせ!」


「あら おいしそう! それじゃあいただきましょうか」


母さんは読んでいた本を閉じ食器を並べる。

それにしても作ったものを喜んでくれるのはいいものだなあ


僕と母さんは胸の前に手を組み

「「いただきます」」

そう言って食事を開始した。


食後の後は二人そろって食器を片付ける。

僕が食器を洗って拭く、母さんがそれをしまう。

すこし役割が増えたり減ったりはするけど今までと変わらない。


ただ、一つ変わったとすれば。

当たり前だったことがどれも特別で、幸せな事だと感じていること。

失った物は少ないとは言い難いけれど、命がある。それだけで満足だった。


食器を片付け終わる頃、僕は母さんに話しかける。


「母さん ちょっと話があるんだ」


魔鬼との戦いを終えてから僕は感じていたことがある。

僕の体術や剣術のレベルの低さだ。

だから僕はあることを決めた。


「僕は 戦える力が欲しい」


「ええ そういうと思ってたわ」


母さんは僕が悔やんでいたことを知っていた。


「だからゴーラさんに相談して剣術を教えてくれる人を見つけたんだ」


僕はゴーラさんにもらった便箋にこれまでに起きたことを書き、剣術を教えてくれる人を探してもらうことにした。その結果 ゴーラさんが知人の方を紹介してくれた。


「わかったわ けど無理はしちゃだめよ?」

母さんは僕の目を見て言う。


「う うん分かってるよ」


「じゃあ、頑張りなさいよこれから」


母さんは少し悲しそうな顔を浮かべる。

まあ家にいる時間は減るけど昼食と夕飯の頃には戻ってくるんだけどね。

母さんはいつも僕を支えてくれた、次は僕が支えれるようになりたい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



今日はゴーラさんの紹介でラディウスという人に会うことになっている。

なんでも元ユーラーン王国の騎士で、騎士団の教官だったらしい。引退して暇を持て余していたところに、ゴーラさんが今回の話を持ち掛けたところあっさりと快諾したようだ。


集合場所はカゴメ村から10キロほど離れたところにある教会だ。

この教会は探究者が利用している教会で石造りなところが特徴的らしい。

僕が教会に行くのは今回が初めてなので少し緊張する…


ちなみに今回は距離が長いため馬車を利用することにした

瞬走を使えばすぐ着くが、20分近く走り続けるのは魔力も体力も持たないので無理だった。


「えーと…教会行きの馬車は…これかな」


僕は母さんに渡された地図を手に馬車乗り場を歩く


カゴメ村の馬車乗り場には多くの人が行き交う。

村民に商人、品をおろしに来る漁師の人、そして何より目を引くのは探究者だ。

カゴメ村から教会まで行く馬車はここだけなので人が良く集まる。


僕が人混みに圧倒されていると教会行きの馬車が出発を知らせる鐘を鳴らす

あっ 乗り遅れたらまずい


「おじさん!僕も乗ります!」


僕は御者のおじさんにそう言うとおじさんは一瞬驚いた顔をしたが微笑みながら軽く頷いた。


「気を付けて乗るんだよ 馬車は揺れるからね」


背の低い僕を気遣ってくれたのか御者のおじさんは僕にそう言った。


「ありがとう!おじさん!」


ふー…何とか間に合った。

これで遅れたら次の馬車が来るのは1時間後だから危なかった。

というか…なんか視線を感じる。


僕が視線を感じ周りを見ると探究者の人たちが驚いた顔でこちらを見ている。

な、なんだこの人たち

2人そろってこっち見なくてもいいじゃないか。


すると一番近くにいたスキンヘッドと髭が印象的なごっつい男性の探究者が声をかけてくる。


「嬢ちゃん これは教会行きの馬車だぜ? 乗る馬車を間違えてるぞ」


今度は隣に座っている黒い髪の女性探究者が口を開く。


「あんた そんな言い方したら怖がられるでしょ? もっと優しくしなさいよ!」


女性は腕を組みながらそう言うと、男性探究者を睨みつける。


「別に怖がらそうとなんてしてねえ!俺を何だと思ってるんだ」


「あら 前に子供と話したときは泣かせてたじゃない」


「あれはおれは悪くねえ!」


「どうだか…」


二人は知り合い同士なのか言い合いを始める。

その言い合いを仲介するように僕は声をだす。


「あっ あの!

 え えと僕はこれから教会に行くんです だから間違えてないです…」


僕がそう言うと探究者の二人は驚いた顔をした


「お 男の子だったのね ごめんなさい…本当に教会に?」


「はい ちょっと用があって…」


「なんだそうだったのか坊主!悪かったな!」


そう言って男性の探究者は僕の頭をガシガシと揺する。


「い いえ 大丈夫です」


黒髪の女性は不思議そうな表情を浮かべながらも僕に手を差し出す。


「連れがうるさくしてごめんね 私はクロエ 見ての通り探究者よ このデカブツは私のパーティメンバーの

トルっていうの 短い時間だけどよろしくね」


「誰がデカブツだ…」


そういってクロエさんは手を差し出してくる。

僕はそれに応えるように手を握り返し握手をした。


「シャーロットです! よろしくお願いします!」



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「シャーロットくん 教会は初めて?」


「は はい!初めてです」


「そう…じゃあ時間もあるしちょっとだけ教会内の説明をしておくわね」


そういうとクロエさんは地図を取り出す


「まずここが入り口ね 正面にあるのが世界樹の像 右側にあるのが任務依頼の掲示板と受け付けよ なにかわからないことがあったらここに行くといいわ それで…左側にあるのが素材買取の場所ね それで世界樹の像の裏側に回ると部屋があるんだけどそこでは【叡智の譜面】が発行できるわ」


叡智の譜面というのは自分の技量やランクが見れる紙の事だ。

実際に自分がどれくらい成長したのかを確かめることができる。


「あと 二階と地下は職員の部屋だから勝手に入っちゃだめよ?」


「わざわざありがとうクロエさん!」


「いいって いいってどうせ私も暇だったから」


そんなこんなでトルさんとクロエさんと話していると馬車が止まった。


「ついたみたいね」


僕は御者のおじさんに賃金を払い馬車を降りる。

僕があたりを見回すとそこには石造りの教会が聳え立ち

百を超える探究者たちが雑談したり素材を分け合ったりしていた。


す、すごい探究者の数…


「すごいでしょ!これ全員探究者なのよ けど、その分変な奴も多いから気を付けるのよ」


全ての探究者が様々な防具と武器を身に着けていて

中には大人ぐらいの大きさの剣を持った人もいる。

僕が探究者たちに魅了されているとクロエさんが肩をたたく


「ほら、待ってる人がいるんでしょ?早くいくわよ?」


クロエさんはそう言って僕の手を引っ張り教会へと向かっていく。


そうだった、自分の目的を忘れるところだった。

初日から相手を待たせたら良くないもんね…


僕は名残惜しく思いながらも

教会との距離を縮めていく。


いよいよか…

憧れの探究者教会.


ーーどんな世界が僕を待っているんだろう。


僕は教会へと憧れの第一歩を踏み入れる。

すると突然クロエさんは僕の正面に立ち

満面の笑顔でこう言った。


「ようこそ探究者教会へ!」


















できたらもう一話投稿します。

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