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神命を担う者 ~紅瞳の探究者~  作者: 甘路
第1章 叡智の破片
5/12

魔力の使い方

一日空いてしまって申し訳ないです

「母さん ごめんなさい…」


母さんの忠告を聞かずに暴走した結果、魔力を制御できずこの様だ…。しかも母さんに助けてもらう始末、我ながら情けなすぎる…。もし母さんがいなければどれだけの怪我を負っていただろうか。骨の2、3本は折れてたかもしれない。さすがに怒られても仕方ない…か。

「いいのよ、シャルに怪我がなくてよかったわ。急に飛んでいくものだからほんとに驚いたのよ?」


「…おこらないの?」


「怒るわけないじゃない 魔力での身体強化は初めてだったのだから失敗することだって想定の範疇だもの! けど 次からはお母さんの言うことをちゃーんと聞くのよ? わかった?」

母さんは僕を怒らなかった。てっきり大きい声で叱りつけられるかと思ったけど全然そんなことはなかった。

それどころか僕を心配して微笑んでくれた。やっぱり母さんは母さんだ。いつもの優しい母さん。

「わかった… あと ありがと」


「ふふ いいのよシャル」


母さんはそう言って僕の頭をなでる。

僕は照れ臭くなって話を変える。

「そ そういえば母さん! さっきのは何?」


「さっきのって お母さんがシャルを助けた時の事?」


「そう! 一瞬で移動して僕を助けたやつ!」


「あれはね ≪瞬走(しゅんそう)≫っていう魔技(マギ)の一つなの」


「… 魔技?」


「そう 魔技はね 魔力の身体強化によって作り出す技のことよ さっきの瞬走はその中の一つで足の身体強化でできる魔技なの」


「足… ってことは 手にもあるの?」


「鋭い! さすがシャルね! 手の身体強化だと一般的なもので≪手刀≫とか≪魔力波≫があるわ。

他にもあるんだけど 使い手によって色々な技があるから全てはわからないの あとは攻撃を受ける箇所に魔力を溜めることで防御力を上げることができるぐらいかしらね」


なるほど…身体の各部位に魔力を集中させることによって強度を高めるのか それなら戦闘の幅も広がるし複雑になる。けど実際に魔力操作をして分かったけど、戦闘中にそれだけ精密な操作をするのは凄く高度な技術だ。僕もできるようになるのだろうか…なんか不安になってきた。っていうかさっき妙なことを言っていたような…

「ところで母さん 魔力波ってなに?」


「魔力波は掌から高濃度の魔力を放出する衝撃波のようなものよ 魔力波の威力は魔力の濃度に比例するわ ちょっと見てて」


そういうと母さんは掌を近くの木に向ける。

「ハァッ!!!」


ドバンッ

木の中心が抉れ真っ二つになる。

「うわっ!」


木に跳ね返った余波が後ろに立っていた僕を襲う。危うく倒れるところだった な、なんだこの威力

母さんが声を出すと同時に風が吹き荒れ、目を開けたころには既に木の中心が抉れていた。

「これが魔力波よ」


「う うん すごいね」


「シャルにもやってもらうんだからね?」


こんなすごいこと僕にできるんだろうか…

「僕にもできる…の?」


「もちろんよ! 初めてで瞬走ができたんだからシャルなら余裕よ!」


「そ そうだといいけど…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いい? 掌に魔力が溜まっている事をイメージして それを体外に放出するの」


今僕たちは森林に移動して魔力波の訓練をしている。しかしなかなかうまくいかない…

掌に魔力を溜めても放出するときに魔力が一点からではなくほかの部分に分散して放出されてしまう。

そうなると魔力はただ浪費されていく一方だ…

「ハア…ハア… だめだ 全然うまくいかない」


「もっと 一点に集中しないと 分散しすぎよ」


もう一回だ。まずイメージする 体内を循環する魔力が掌に集まる 魔力は手の内を満たしていく 溢れだそうとする魔力を制御し留まらせる すると魔力の濃度が高くなっていく いける!

そう思い、掌から魔力を放出する。


パシュ~


「…だめだ」


それから一時間ほど、魔力切れになるまで練習を続けるも、あと少しのところで終わってしまった。

「ハア…ハア… もう無理っ」


結局今日はできなかった。長い道のりになりそうだ…

「焦らなくていいのよシャル? 7歳から魔力操作なんてふつうはできないんだから ほら もう暗くなって冷えてきたわ 汗で体が冷えないうちに家に帰って夕飯にしましょ」


「…わかった」


僕はしぶしぶ返事をする。けど魔力切れなら仕様がない…それにもう魔物が起き始める時間だ。春は夏に近づいているとはいえまだ日が短い。こんなところで日が暮れるまでいたら魔物に襲われてしまうかもしれないのだ。そうして僕と母さんは帰宅することになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




帰宅中、ライ麦畑の横を歩いていると向こうから誰かが歩いてくる。

≪探求者≫らしきの男二人組だ。二人とも黒い薄着の上に鉄板が重ねてありその上を布や皮で覆っている。さらにに腕は黒革のガントレットを装備しており腰のソードベルトには鉄製の剣が装着されている。

クエスト中なのかな、でもやっぱり探究者って…


かっこいいなあ…


やっぱり探究者といえばみんなの憧れの職業なのだ!

危険を冒して遺跡を探索したり魔物を討伐する。そして何よりダンジョン!

僕も将来なれるかなあ探究者…

「シャル? ぼさっとしてないで行くわよ?」


「あっ うん」

いつの間にか歩くことを忘れて考え込んでしまっていた。そういえば、母さんと父さんも昔は探究者だったんだっけ?


「ねえ 母さん」


「んー? なーに?」


「父さんと母さんって昔探究者だったんだよね?」


「そうよー といってもカゴメ村の周りにいる魔物を駆除することが多かったから 素材を売るために探索者になっただけなんだけどね お父さんも司書のお仕事の当番がないときは暇だっていって村の護衛をしてたしねー」


僕とお母さんが住むカゴメ村は海に接する港村で商人も時折訪れるような村なので商業が盛んになっている。けれど東のはずれの村なので観光客などはいない、それでも一応宿とかはあって他の村に比べたらそれなりに活気がある。それゆえ魔物も集まりやすく魔物を殺せる腕前の人間が他の村に比べて多く必要だ。だから父さんも母さんも魔物退治を兼業していたらしい。


「僕も早く探究者になりたいなー」


「ふふ シャルならすぐになれるわよ!」


それからしばらく話をしている内に僕と母さんは家に着いたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「ごちそうさまでした!」」


「今日は僕が食器を洗うよ!」


「あら 気が利くじゃないシャル でもいいのよ 疲れてるでしょ? 体を休めないと」


「んーん 母さんだってあんなに動いたのは探究者の時以来でしょ? 僕は普段から薪割とかしてるし大丈夫だよ!」


照明の明かりなどは光石という魔力によって光る石があるけど料理とかお風呂を沸かすときは火を焚かないいけないそのための薪をとるのは僕の仕事になってる。


「じゃあ今日はお言葉に甘えて シャルにお任せしちゃおっかな~?」


「まっかしてよ!」

と言って胸にドンッと手を当てる


「ふふ じゃあよろしくね」


食器洗いを終えた後、僕は父さんが作った図書室に足を運んだ。

いつもは朝にこの図書室に訪れて歴史や文字について勉強をしている。

図書室といっても大きいわけではなく普通の部屋にたくさんの本棚が置いてあるだけだ。 これらの本は父さんが司書をやっていたころに汚れた本や壊れてしまった本を回収してきたもので、汚れてはいるものの普通に読める。

「あれ? あの隅なんか光ってる?」


今日は何を読もうかとあたりを見回したところ部屋に差し込む夕日の光に反射して何かが光る。

近づいてみるとそこには金の取っ手がある。

なんだこれ?と思って持ち上げると床から引き出しが出てくる。

大きさは分厚い本が一つ入るくらいの大きさの大きさで中心にはくぼみがあり真っ黒な本が埋まっている。

「なんだこの本?」


金色の金属のようなもので縁がかたどられていて鍵穴になってる…

埃まみれの本を服の袖でなでると題名が現れる。

「これって… 古代ユーラーン文字?」


その本の題名は古代文字で書かれていた。

古代文字の書物というのは決して珍しいわけではなく手に入れようと思えば高価だが買うことはできる。

そのため古代文字を現代文字で翻訳することは【叡智の記憶】に記載されているような一般的な言葉なら可能なのだ。

しかし複雑になってくると学者級の人でなければ難しい。

しかしこの本の題名はシャルにも読むことができた。

「【調停者と破滅をもたらすもの】かな? 調停者って何だろう それに破滅をもたらすものって…うーん考えてもわからないなぁ しかも鍵穴付きの本なんて初めて見た… よっぽどこの本大切だったんだろうなあ」


そのあと母さんにも見せたが見たこともなかったようだ。

一体この本は何なのだろうか。今度鍵を探してみよう…


















作品タイトル 追加しました。きっと今までのタイトルだけじゃ話の内容わからなかったですよね

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