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神命を担う者 ~紅瞳の探究者~  作者: 甘路
第1章 叡智の破片
4/12

能力

僕はさっき、能力(ミライシ)を使うことで母さんがグラスを落とすのを()(),それ防いだ。能力を使っている時はなんとなくだけど浮遊感があった気がする。今も頭がボーッとしてる。


「凄いわシャル!…それにしても、未来視がこんな能力だったなんて…、シャル、()()()()見えるのか試してみて。能力はね、その力の影響力によって消費魔力が違うの。身体強化とか、自分にしか影響を与えないものは《主動系》と言って基本的に消費魔力が少ないと言われているわ。逆に他に影響を及ぼすもの《他動系》は魔力消費が大きいの。たぶん、シャルの能力は自分に影響を与える《主動系》ね。だから魔力消費も少ないはずよ!」


「う、うん 見てくるね」


僕は未来を見ようとする。

魔力を込めるとまた浮遊感が訪れた。

今日の朝に見た夢と同じようだった。


「シャル?どこまで見えたの?」


「えーと、15秒先まで」


「魔力の減りは感じる?」


「なんか、頭がボーッとする…」


「最初はそう言うものなの、魔力が体を流れるのに慣れていないから」


「そうなん…」


見えた。そして二回目が訪れる。


「シャル?どこまで見えたの?」


「えーと、15秒先まで」


「魔力の減りは感じる?」


「なんか、頭がボーッとする…」


「最初はそう言うものなの、魔力が体を流れるのに慣れていないから」


「そうなんだ…」


試しにもう一度見る。


母さんがこっちに歩いてくる。


その時だった。


母さんが痛みに顔を歪めた。


足の小指を机にぶつけたのだ。


「イッタイッ!もう!またやっちゃた…お母さんボケちゃったのかしらね、はぁ」


その間僅か10秒


そして時は遡る。


再び母さんが歩いてくる


このままでは小指をぶつけてしまう。


「母さん!止まって!」


そう叫ぶと母さんは歩きを止める。

どうやら未来を変えれたようだ。


「どうしたの?」


「今能力を使ったら、母さんが小指をぶつけ…」


バタッ


そこまで言うと僕は意識を手放した。


「シャル!?…はぁ、魔力切れのようね。けど主動系のはずなのに…こんなに魔力を使うなんて」



それからしばらくして僕は意識を取り戻す。


「シャル?大丈夫?魔力切れだったみたいよ」


心配そうにこちらを覗いている。


「うん、だいぶ良くなったみたい」


「シャル、聞いて。あくまでお母さんの推測だけど、あなたの能力は主動系()()ではないわ。」


「だけ じゃない?」


「そう、あなたがが能力を使って未来を見るのにはあくまで主動系として魔力を消費するの。けれどその未来と違うことをする。つまり結果を変えてしまうということは未来を《壊す》ということそして新しくあなたの望む未来を創る。これは他動系として魔力を消費することになる。だからあなたは一度の動作で二度魔力を消費するのよ。こんな話今まで聞いたことがないわ。」


「一度に二度も…」


「けど、心配しないで。これから魔力量を増やしていけばいいんだから。学園まではあと一年間もあるの。

それまでお母さんと特訓よ!」


そう、僕は1年後このユーラン王国の東端に位置する東ユーラーン学園に通わなくてはいけない。8歳から成人の儀を行う14歳まで通い続けるのだ。

学園では、勉学はもちろんのこと能力の使い方などや、戦闘系の職に就きたい人は対人戦のや魔物との戦い方の授業を取ることができる。


――――――――――――――――――――――――




翌日



「さあシャル!授業を始めるわよ!」


「うん!母さん!」


「はい!先生でしょ?」


「は、はい 先生…」


「よろしい!」


こうして母さんとの特訓が始まったのだった…



「ほら、無駄に魔力を消費し過ぎよ!もっと抑えて!」


「む、難しいんだよ…」


今僕は魔力循環の練習をしている。

魔力循環とは能力を使う時の魔力の動きで、練習では能力を使わずにこの動きだけを繰り返す。

これが相当難しいのだ。

魔力を体の中で循環させるのは簡単だがその時に魔力が体から漏れてしまうのだ。そうすると無駄な魔力を消費してしまい、能力を使う時に魔力を余計に使ってしまうことになる。つまりこれは能力を使うための基礎中の基礎なのだ。


「ほら!もう一度!」


母さんはなかなか厳しい


「分かった…」


僕は目を閉じて集中する…

体内の魔力を感じる。まるで血管のように体内を魔力が流れている。 その流れを抑制して体内を循環させる…

頭から 肩を通り 両手に流れて行く


魔力は指先まで達して再び動き出す


指先から肩に戻り下半身に向かって動く


腰を通り 膝に達する そして足の指先に魔力が達する


体が軽くなる 足が魔力で強化され重さがなくなったように


そして魔力循環が成功した


「できたみたいねシャル!魔力漏れもないみたい。どう?体が軽いでしょう?」


「うん!自分の体じゃないみたい!ちょっと動いてみる」


「ちょっと!まだダメよ!」


母さんが言っていることは僕には届かなかった。


空だって飛べそう そう思えるほど体が軽くなっている。こんなの走りまわりたくなるに決まってるよ!


僕は足に魔力を感じながら、力を込める…

そして地面を蹴りあげ 走る…


否。


それは走りなどではなかった。


飛んでいた。


魔力による力を制御できず、僕は50メートルほどの距離に到達する。


その間僅か3秒


突然の事で思考が追いつかない。

えっ…どうなってっ


しかし僕の思考よりも早く地面が迫っていた。

地面スレスレをほぼ直線上に飛んでいたが、やがて高度は落ちていく。


そして地面に直撃する事を覚悟し目を閉じる


しかし、その時は訪れなかった。


「あれ…痛くない… …?!」


不思議に思って目を開くと…


「ダメじゃない!勝手に動いちゃ!」


母さんが僕を抱えていた


母さんは50メートルもの距離を1秒にも満たない速さで移動し、僕を助けたのだ。















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