第三百七章 渚、お転婆娘に振回される
陽子が地球と連絡を取っていると司令官が、「陽子さん、帰って来たのですか?陽子さん一人で敵の本部に乗り込むのは無理であるにも関わらず、陽子さんを行かせたのは、バリアが破られるのは時間の問題でしたので、せめて陽子さんだけでも地球に逃げ延びて欲しかったからで、敵の探査については、ベテラン秘密調査官のモミジがテレジア星に不在で、感染しなかった為に探査させているので、期待していませんでした。」と陽子を助けようとしている様子でした。
陽子は、「司令官、水臭いではないですか?成美ちゃんも怒っていましたよ。テレジア星を攻めていた敵は、成美ちゃんの活躍で撃退しました。」ともっと私達を頼ってほしかった様子でした。
司令官は、「成美ちゃんは、確かキングコブラでしたね。キングコブラの毒はそんなに強いのですか?」と驚いていました。
陽子は、「コブラの毒は毒蛇の中でも猛毒で、キングコブラは一度に注入される毒が多い為に、コブラの中でも特に恐れられています。」とキングコブラの毒について説明しました。
司令官は、「モミジの報告によれば、敵はキングコブラの存在を知らなかった為に調査しているらしいです。テレジア星にはキングコブラは生息していない為、調査に時間が掛かると思われます。しかし、キングコブラが地球に生息している事に気付けば、地球も狙われる可能性があります。敵の調査が完了するまでに、私達も病原菌対策をして、体制を整える必要があります。今攻められると最悪の結果になる可能性があります。成美ちゃんが、敵にとっては謎の宇宙生物として、敵を撃退してくれた為に時間稼ぎができて助かります。体制を整えるのは私が中心になりますので、病原菌に感染しても症状が出ない陽子さんは、フジコさんと協力して病原菌対策をお願いします。」と指示しました。
敵がキングコブラの事を調べている間は平和が続きましたが、この間もモミジは必死に敵の事を探っていました。
一方地球では、テレジア星人が芹沢外科医院に入院し、快復したテレジア星人は、他の星雲に避難したり、地球に残りサクラと共にテレジア星から運ばれた物資を販売したり、芹沢外科医院で無給ボランティアとしてテレジア星人専門看護師やその他の手伝いなどをしていました。サクラは地球でサクラ販売会社を設立して、女社長として生活していました。
アヤメは、キングコブラが地球に生息していると敵が感付けば、攻めてくる可能性があった為に、病原菌から快復して地球に残っているスケバングループのメンバーに、太陽系の周囲を警戒させていました。
ある日、芹沢外科医院に、お転婆娘の田中淑子が、母親に付き添われて来ました。
母親が渚に、「この子は女だてらに、男の子と喧嘩して怪我しました。相手の男の子も怪我をしていて、止めに入った大人が喧嘩両成敗で、その場を納めました。左肘の痛みが取れないと言うものだから、ここへ連れて来ました。」と娘の心配をしていました。
渚が、「お嬢ちゃん、元気が良いのね。でもあまり無茶をすると今回のように怪我するから程々にね。」と忠告して検査しました。
検査結果を見ながら渚は、「ここを見て下さい。」とその親子に指差して示しました。
母親が、「あっ!骨が折れている!」とショックを受けていました。
渚が、「いいえ、これは骨ではなく靭帯です。靭帯が切れています。」と説明しました。
母親は、「えっ?切れている?治るのですか?暫く入院しなければいけないのですか?」と心配していました。
渚は、「お母さん、落ち着いて下さい。大丈夫ですよ。入院しなくても治りますから、安心して下さい。」と安心させて治療しましした。
渚は治療が終わると、「先程説明したように入院の必要はありませんが、暫く通院して下さい。」と説明しました。
母親は、「女の子はもっとお淑やかにしなさいね。折角あなたを淑子と命名したのだから。」と呆れていました。
淑子は、「女の子がお淑やかにしなければいけないだなんて誰が決めたのよ!覆面女子レスラーみたいな人もいるじゃないの!私大きくなったら、その覆面女子レスラーの弟子になろうかな。」とお淑やかにする様子はなさそうでした。
渚は、“母親は、怪我よりその問題の方が大事みたいだわね。仕方ないわね、何度も怪我して、その都度来られると、こっちもテレジア星の事で大変だから、そうならないように、菊子に説得させるか。”と思いながら、「お嬢ちゃん、その覆面女子レスラーは商売柄よく怪我をするので、ここのお得意さんよ。紹介してあげようか?」と菊子に説得させようとしていました。
淑子は、「お得意さんって何?」と聞きました。
渚は、「難しい言葉を使って御免なさいね。要は、怪我をして、この病院によく来るのよ。」と説明しました。
淑子は、「嘘でしょう?だってこの近くで覆面女子レスラーを見た事ないわよ。」と不思議そうでした。
渚は、「いつも覆面していないわよ。試合を観戦に行く日があれば事前に教えてくれれば、その試合後に、お嬢ちゃんを控え室に入れるように頼んであげるわよ。」と菊子を紹介しようとしていました。
淑子は、「本当?必ず連絡するから。」と喜んで診察室から出ていきました。
まだ診察室に残っていた母親が、「先生、変な人を紹介しないで下さい。」と不満そうでした。
渚は、「お母さん、落ち着いて下さい。彼女はリングの上では乱暴ですが、一度リングから降りると、とてもお淑やかな女性で、同一人物だとは思えないわよ。そんなに心配でしたら、先にお母さんに紹介しましょうか?」と説明しました。
その夜、渚は菊子に連絡して、淑子の事を説明して、連絡があれば伝えるので説得してほしいと頼みました。
菊子は、「そんな事を覆面女子レスラーに頼むと、火に油を注ぐ事になるかもしれないわよ。」と渚が何を考えているのか理解できない様子でした。
渚は、「菊子さんは、実戦経験が少ないから、宇宙空間で戦うのはいつも私達なのよ。あなた一人だけずるいじゃないの!こんな時ぐらい協力してよ。」と菊子に協力依頼しました。
菊子は、「私一人だけ皆から外れているのではなく、皆が丸東組というグループを作っていたんでしょう。その結果丸東組にハーケン特別隊の基地ができて、今に至っているだけよ。」と皆が勝手に動いているだけだと反論しました。
ある日、淑子の母親が町のチンピラに絡まれている事に気付いた渚は、チャンスだと判断して菊子に連絡しました。
渚から話を聞いた菊子は時間がないのでUFOで移動し、覆面女子レスラーとして、そのチンピラを追い払いました。
淑子の母親は、一緒にいた渚に、「彼女はリングの上でなくても乱暴じゃないの。」と話が違うと怒っていると、菊子が覆面を脱ぎました。
淑子の母親は、「えっ?あなた今、人気のあるアイドル歌手?」と驚いていました。
渚は、「お母さん、彼女は普段はとてもお淑やかな女性ですよ。試合直後にしたのは、人気アイドルスターが覆面女子レスラーだと説明しても信用しないと思ったのでね。必ず淑子さんを説得してくれます。ねえ、菊子さん。火に油を注ぐような事はしないわよね。」と横目で菊子をチラッとみました。
淑子の母親は、「本名は菊子さんですか?それじゃ、近日中に淑子に試合を観戦させます。その時は、宜しくお願いします。」と頭を下げて、娘を説得してくれると期待しました。
淑子の母親は、菊子と相談して、菊子の都合の良い日を確認して、その日の女子プロレスの観戦チケットを菊子から入手して、淑子にプレゼントしました。
淑子は喜び、渚に連絡して覆面女子レスラーの控え室に入れるように頼んで欲しいと連絡しました。
試合終了後、リングから降りた菊子は淑子に声を掛けて、「私の控え室に来る?」と手を差し伸べて淑子を控え室へ連れて行きました。
菊子は淑子と雑談した後に覆面を外すと淑子は驚いて、「えっ?あなたは人気アイドルスターですよね?」と信じられずに自分の目を疑っていました。
菊子は、「女の子はお淑やかにしないとね。でも人間だから腹の立つ事も色々とあるでしょう?“能ある鷹は爪を隠す“と言うでしょう?私は自分だと、ばれないように覆面女子レスラーとして鬱憤ばらしをしています。あなたも、いつもはお淑やかにして、何処かで息き抜きをする方法を考えればどうですか?」と助言しました。
数日後、通院の為に芹沢外科医院を母親と訪れた淑子は渚に、「私は、お淑やかな女の子になる事に決めました。」と伝えました。
渚は治療終了後、「そうね。それが良いわね。治療は今日で終わりです。後は無理をしないように少しずつ運動をしてね。何かあればまた来てね。」とホッとしていました。
母親は渚に、「先生、有難うございました。あの子もお淑やかになると約束してくれたので、ホッとしました。」と喜んで診察室を出て行きました。
数日後、帽子を深く被りマスクで顔を隠した女の子が喧嘩していたので、透視で確認すると淑子だった為に渚は驚いて菊子に連絡して、「菊子!あの子に何を言ったのよ!」と菊子を疑っている様子でした。
菊子は、「覆面女子レスラーに頼むと火に油を注ぐかもしれないと言ったでしょう。」と淑子に言った事を説明しました。
渚は、「そんな無責任な事を言って、あの子が怪我したらどうするのよ。」と心配していました。
菊子は、「別にどうもしないわよ。母親から、“何て人を紹介してくれたのよ!”と渚が怒られて終わりよ。それに私はどこかの道場に通うよに説得したのよ。そんなに心配だったら、今はテレジア星人が大勢来ているので、誰か暇な人にボディーガードを頼めば?」と深く考えてない様子でした。
次回投稿予定日は、10月22日です。




