第二百九十九章 地球で毒虫の被害相次ぐ
陽子から連絡があり、「マーガレットさん、渚はまだ帰ってないの?」と連絡が遅いので、どうなっているのか確認しました。
マーガレットは、「帰っているけれども、後で連絡すると言いながら横になっているわよ。」と返答しました。
陽子は、「ったくマーガレットさんも役に立たないわね。渚を起こして!」と切れました。
マーガレットは、「渚、いつまで寝ているのよ。お陰で私が役立たずと怒られたじゃないの。」と怒っていました。
渚は、「何?何か用?」とボサボサ頭であくびをしていました。
陽子は、「用があるから呼んだんでしょう。最近地球で毒虫に刺される被害が続出しているでしょう。渚、あんた医師でしょう?何も感じないの?」と渚の対応を確認しました。
渚は、「それは聞いた事あるけれども、まさかその毒虫って敵じゃないわよね。死者は出ていないと聞いたから。」と深く考えてない様子でした。
陽子は、「その毒虫に刺されれば、刺された所から切断していると聞いたわよ。毒だったら何故体中に直ぐ広まらないのか不信に思わないの?」と確認しました。
渚は、「何でも少しずつ組織を破壊していくと聞いたわよ。」と聞いた話をしました。
陽子は、「渚、あんた人から聞いた話ばかりじゃないの。自分で調べたの?毒は直ぐに体中に広まっているわよ。只、体中に広まった毒は直ぐに活動せずに、数ケ月後に活動を始めるので、その時に地球は大混乱になるわよ。」と忠告しました。
渚は、「何故そんなに詳しいの?」と不思議そうでした。
陽子は、「フジコさんに聞いたのよ。その毒虫はX星に生息している毒虫で、血清はX星人のものしかないのよ。今の間に医師として何か手を打っておかないと大変な事になるわよ。」と警告しました。
マーガレットが、「何故X星に生息している毒虫が地球に来るの?」と不思議そうでした。
陽子は、「それは私にも解らないけれども、謎の敵に何か関係あるのかもしれないわね。今モミジさんが調査中です。もし謎の敵が故意に地球にばら撒いたのであれば、謎の敵が攻めてくる日も近いわよ。強力な戦艦が完成したのかもしれないわね。」と予想しました。
渚は、「マーガレットさん、あなた何処を調査していたのよ。気付かなかったのか!」と責任転換しようとしていました。
マーガレットは、「毒虫の事を知っていたにも関わらず、気付かずに今まで放置していたのは誰よ!分析が足りないから子供の頃に迷子になりベソをかくのでしょう。」と反論しました。
渚は都合が悪くなり話題を変えて、「以前モミジさんに、援助をお願いしたけれども、その件は何か聞いているの?」と確認しました。
陽子は、「モミジさんは、渚達だけで今回の敵と戦うのは無理だと司令官に話をしていたわね。でもその結果どうするのかは聞いてないわ。そんなに心配だったら、モミジさんは調査中で隠密活動をしている為に、通信を切断しているかも知れないので、司令官に直接聞くしかないわね。」と返答しました。
渚は通信切断後、「マーガレットさんの母親でしょう?連絡する方法を知らないの?」と厄介な問題はマーガレットに対応させようとしていました。
マーガレットは、「今、陽子さんが直接司令官に聞けと言っていたじゃないの。私は謎の敵が襲って来る可能性が高くなった為に、銀河系の探査を強力にする必要があるのよ。地球を離れるわよ。私のいない間に死神と仲良くなり、地獄に駆落ちしないでね。」と逃げようとしていました。
渚は、「一寸、マーガレットさん!地球から逃げる気?」と切れました。
マーガレットは、「逃げないわよ。今までだって銀河系の探査をやっていたから同じよ。地球から離れられない渚は地球で頑張ってね。」と宇宙へ探査に出て行きました。
渚は、X星の政府を通じて毒虫の資料を取り寄せて研究すると、毒虫に刺されると直ぐに組織の破壊が始まり、痛さで何もする気が起こらず食欲も減退しますが、熱に弱い事が判明しました。
そんなある日、ピアニストが毒虫に刺され腕を切断するように診断された為に、痛みを堪えて、エスベック病の手術が可能な唯一の病院である芹沢外科医院を頼って来ました。
対応した渚は、「今、研究中ですので、実験台になる事を承知の上だと治療してみますが、治る保証はありません。あくまでも
実験台だと考えて下さい。」と説明しました。
ピアニストは、「人体実験ですか?薬品に何か副作用があるのですか?」と心配していました。
渚は、「治療する時は薬品を使いません。その後で必要になる可能性はあります。この毒は熱に大変弱い事が判明しました。治療は、熱めの風呂に長時間入って下さい。副作用は、のぼせる程度ではなく、下手をすれば命を落とす可能性もあります。」と説明しました。
ピアニストは、「刺された所だけ熱くすれば良いのではないですか?」と不思議そうでした。
渚は、「これは病原菌ではなく、毒虫の雌を注入しています。毒虫の雌は小さくレントゲンなどにも写りませんが、その排泄物が組織を破壊しています。さらに卵を循環器に乗せて体中に広がります。血液ではなく、リンパに乗って広がります。したがって血液検査をしても異常なしです。卵の間は何も症状はありませんが、孵化すれば体中に激痛があり死亡するでしょう。その卵も熱に弱いので、体中を熱くする必要があります。」と説明しました。
ピアニストは、「熱い風呂って何度ぐらいの風呂ですか?五十度ぐらいですか?」と確認しました。
渚は、「五十度の風呂に長時間入れば死にます。体温計は最近電子式ですが、昔、水銀柱の体温計があった事を知っていますか?」と聞きました。
ピアニストは、「ええ、確かお婆さんが使っていますがそれが何か?」と不思議そうでした。
渚は、「水銀柱の体温計の目盛は四十二度までしかありません。何故だか知っていますか?」と質問しました。
ピアニストは、「それ以上体温が上がらないからじゃないですか?」と不必要だからないのだと考えていました。
渚は、「まあ、そうですが、要は四十二度を超えると人間は死にます。無意味だから目盛がありません。ゆで卵が固まるように、体の中のたんぱく質が固まるからです。」と説明しました。
ピアニストは、「そういう事ですか。人間がゆで卵になるのですね。死亡する可能性があるのは、四十二度近くまで体温を上げるのですか?」と納得していました。
渚は、「そうです。毒虫の雌も卵も四十度で死にます。暫く体温を四十度以上に保つ必要があります。体温のコントロールが上手くいかずに四十二度を超えれば死亡しますが、例え四十二度を超えなくても、何らかの内臓障害などの副作用が出る可能性もある為に、完治してもピアノが今まで通り弾けるかどうかは保証できません。」と返答しました。
ピアニストは、「風呂自体がサウナのように熱くなるので、体温はどのようにして測るのですか?」と具体的な方法を確認しました。
渚は、「直接内蔵に体温計を挿入します。」と返答しました。
ピアニストは、「どうやって内臓に挿入するのですか?」と手術でもするのかと心配していました。
渚は、「直腸で体温を測る方法があります。すなわち肛門から体温計を挿入して体温を測ります。」と返答しました。
ピアニストは、「腕を切断すればピアノが弾けないどころか、数ケ月後には死亡するのですよね?実験台とはいえ、ここで治療すれば、再びピアノが弾けるようになる可能性があるのですよね?その可能性はどのくらいですか?」と確立によってはここで治療しようと考えている様子でした。
渚は、「今も言ったように、研究段階なのでデーターがありません。はっきり言って解りません。」と返答しました。
ピアニストは、「少しでも可能性があるのでしたら治療をお願いします。」と渚に治療を任せる事にしました。
治療後激痛が消えた為に渚は腕を局部麻酔して毒虫の雌を摘出し、顕微鏡で確認後、ピアニストに見せて、「毒虫の雌は、この通り摘出しましたが、卵が全て死んだ保証はありません。もし体に激痛があれば直ぐに来て下さい。その時は一部分だけ熱くすれば良いかもしれません。数ケ月で孵化するので、一年間激痛がなければ大丈夫だと思います。」と説明しました。
ピアニストは、「今、毒虫を摘出したので思いつきましたが、何故治療前に摘出しなかったのですか?」と不思議そうでした。
渚は、「摘出する時は麻酔をしたでしょう?虫だから動き、激痛がなくなる為に毒虫が何処にいるのか解らなくなるのよ。それに卵は全身に広がっています。」と返答しました。
その後ピアニストが現役に復帰した事を知ったマスコミがインタビューしました。
ピアニストは、「芹沢外科医院で治療すれば、腕は切断しませんでした。先生によれば、切断しても一時的に激痛がなくなるだけで治らず、数ヶ月で死亡するらしいです。」と返答しました。
マスコミが芹沢外科医院にインタビューに来ました。渚は激痛の原因と治療方法を説明しました。
治療の為に腕や足を切断した病院は、「血液検査までしたのだから、問題ない。芹沢外科医院は最近エスベック病の手術はしてないし、浮浪者などしか治療してない怪しい病院で全く信用できない。その証拠に今回の治療方法は発表してないじゃないか。」と反論しました。
そんな中、治療の為に腕や足を切断した患者が、渚の指摘通りに、次々と体中に激痛を訴え亡くなりました。
治療の為に腕や足を切断した患者は、エスベック病の手術が可能な芹沢外科医院を訪ねるべきだったと後悔しました。
マスコミは、芹沢外科医院の歴代院長がエスベック病の手術が可能な理由を聞きました。
渚は、「初代院長の意思を尊重し、浮浪者など金銭的余裕がない人は無料で治療する事とエスベック病の手術が可能な事が、この病院を継ぐ条件なので、エスベック病の手術は可能です。そのような外科医がいなければ、この病院は廃院になります。」と返答しました。
マスコミは、「毒虫の事を何故、学会で発表しなかったのですか?」と不思議そうでした。
渚は、「今、研究中で未だ発表する段階ではなかったからです。実験台になる事と命を落とす可能性は否定できない事を説明して、患者さんに治療するかどうか判断させました。」と返答しました。
次回投稿予定日は、9月17日です。




