第二百九十三章 成美の最後
渚は、「何かの切欠で、毒を作り始める事があるかもしれません。私の大型特別艦で調べてみましょう。」と成美を大型特別艦
に連れて行き調べました。
渚は、「確かに毒は作られていましたが、その毒を調べるとまだ弱く、病院が未知の毒だと判断したのは、キングコブラの毒だ
と解らなかったからだと思います。」と検査結果を伝えました。
成美が、「どうするの?また手術して毒を摘出するの?」と心配そうにしていました。
渚は、「今、成美ちゃんの毒はそれほど強くないので、悪戯に手術の回数を増やすのは辞めましょう。前回と同じ手術をしても
、毒は再び作られる可能性がある為に、成美ちゃんに負担を掛けるだけなので、暫く様子を見て、毒が強くなるようでしたら、
手術も視野に入れて考えましょう。それまでは人に噛み付かないように気を付けてね。私達も成美ちゃんを庇いきれなくなりま
すよ。」と忠告しました。
成美が、「明日、虐めっ子が家に来るけれども、何て説明するの?」と心配していました。
モミジは、「そうね。何て説明しようかしら。確か、虐めっ子の説明によると、毒は血液検査で検出されたとの事だったわよね
。成美ちゃんが噛み付いた傷口から検出されたのではないから、成美ちゃんが噛み付いた事が原因ではないと説明しようかしら
。毒を成美ちゃんの歯に塗っていれば、成美ちゃんも毒にやられる筈だけれども、成美ちゃんは何ともないと説明すれば納得し
てくれないかしら。」と考えていました。
成美が、「私の歯を検査すると言ったらどうするの?」と心配していました。
渚が、「私は成美ちゃんの学校の校医をしているので、校医の病院、つまり芹沢外科医院で検査をする事にすれば、私が何とか
誤魔化してあげるわよ。虐めっ子が入院した病院や大学病院で検査する事になれば、厄介な事になりそうですね。」と対処方法
を考えていました。
成美が、「そうなれば、私は殺されるの?可愛い百足やニシキヘビも同じ運命を辿るの?」と心配そうにしていました。
モミジは、「可愛いかどうかは別にして、そんなに心配しなくても大丈夫よ。そんな事はさせないわよ。今ハリアット号でダウ
ンしているマーガレットは、テレジア星で生まれたけれども直ぐにハリアット号で宇宙に出て、ハリアット号の中で育ったのよ
。いざとなれば成美ちゃんもハリアット号に住めば良いわよ。」と安心させました。
渚が、「ハリアット号にニシキヘビを連れ込めば、マーガレットさんの気が狂うんじゃないかしら。」と心配していました。
モミジは、「先日様子を見に行くと、だいぶ落ち着いていたわよ。もう大丈夫だと思います。駄目ならマーガレットが地球に住
み、成美ちゃんがハリアット号にニシキヘビと住めば問題ないでしょう。」と返答しました。
翌日、虐めっ子が成美の家を訪ねて来て、モミジの説明で、芹沢外科医院で検査する事になり、渚が上手く誤魔化して問題は特
にありませんでした。
やくざの組員である、虐っ子の親父が一連の事を知り、成美には何かあると思い、金になると判断して、他の組員と成美を拉致
して息子と一緒に、「俺の息子を変な毒でやっつけたな!校医とおまえは同居しているじゃないか!俺は騙されないぞ。」と脅
しました。
やくざの親父は成美が意外に頑固なので、ナイフを取り出して、「白状しないのなら、ぶっ殺すぞ。」と脅しました。
成美も覚悟を決めて、人工生命体の百足を呼び寄せ、「あれはキングコブラの毒よ。」と大蛇に変身し、組員の一人を丸呑みし
、やくざの親父に巻きついて、締め上げて体中の骨がバキバキと音を立てながら折れて即死しました。
虐めっ子は、「お前、ヘビの化け物だったのか!」と一緒にいたやくざと驚きながら逃げ出したので、百足に襲わせて殺してし
まいました。
家に帰った成美から話を聞いたモミジは、「やっちゃったものは仕方ないわね。元やくざの組長に相談しましょうか。」と落ち
着いていました。
成美は、「モミジ小母さんは、やくざの組長と知り合いなの?」と驚いている様子でした。
モミジはテレジア星人の寿命の話をして、「昔、渚小母さんは、あの怖い丸東組の組長だったのよ。もう直ぐ帰ってくるから相
談しましょう。」と説明しました。
帰って来た渚は話を聞いて、「やくざの親父は体中の骨が折れたのでしょう?警察もまさか小学生の成美ちゃんに、そんな事が
できるとは誰も思わないので、放置しておけば良いわよ。私はアリバイがあるから大丈夫ですが、容疑者としてモミジさんが疑
われるかもしれません。上手く誤魔化せば、事件はお宮入りするでしょうね。」と助言しました。
逃げ出した虐めっ子とやくざを人工生命体の百足と大蛇になった成美が襲っている様子を、悲鳴で気付いた近所の住民が動画撮
影していた事には成美も気付いていませんでした。
ニュースでそれを知り渚は、「一寸、成美ちゃん、撮影されていたじゃないの。」と慌てていました。
モミジが、「成美ちゃんはテレジア星人のような透視力がない為に、気付かなかったのよね。成美ちゃんを責めると可哀想よ。
」と庇いました。
渚が、「自衛隊が出動して来たじゃないの。どうするのよ。」と困っていました。
モミジは、「放置しておけば、そのうち騒ぎは収まるわよ。成美ちゃんも暫くの間、大人しくしている事ね。百足の人工生命体
も地球へは連れて来ないでね。」と落ち着いていました。
渚は、「ヘビは冬眠するのよ。自衛隊も冬眠していると判断して、数ヶ月は出動を繰り返すと思うわよ。最低でも一年以上は大
人しくしていないといけないと思うわよ。その間、モミジは警察だけではなく、自衛隊からも疑いの目で見られるかもしれませ
んね。」と忠告しました。
モミジは、「仕方ない。成美ちゃん、私と一緒に大人しくしていよう。もしヘビの姿になりかたったり、人工生命体の百足と遊
びたかったりすると、ハリアット号の中ですれば良いから、いつだって連れて行ってあげるわよ。」と諦めました。
騒ぎが収まった数年後も成美は、人に噛み付いて大騒ぎになって、ようやく騒ぎも落ち着いて来たので、もう二度と騒ぎを起こ
したくなく、大人しくしていました。
やがて成美も大学生になり、生物を専攻し、特にヘビなどの爬虫類を専門にしていました。成美は大学卒業後も大学に残り、特
にヘビについて研究していた為に、ヘビ博士として有名になりました。
成美の研究室には何種類ものヘビを飼っていて、毒蛇にも素手で食事を与えていたので、他の研究員が危険だからと止めていま
した。
成美は、「スキンシップもお互いの信頼の為に必要なのよ。」と素手で食事を与え続けました。
ある日、他の研究員が、「成美さんは三十代なのに、階段を上れば息切れしているようでは駄目じゃないですか。運動不足では
ないですか?私は良く友達とテニスをするのですが、今度の日曜日には成美さんもどうですか?」と誘われました。
成美は、「研究室以外に自宅でもニシキヘビを飼っています。自宅では私しか面倒を見る人がいないので、考えさせて下さい。
」と返事して、自宅に戻り渚が帰って来るのを待ち相談しました。
渚は、「一寸調べさせてくれる?」と成美を大型特別艦に連れて行き検査しました。
「最近モミジ小母さんと内緒話をしていますが、何の話をしているの?ところで成美ちゃんは、ヘビ博士だからヘビの事は詳し
いわよね。ヘビの寿命は何年なの?遺伝子操作されているので少しは違うと思うけれども、成美ちゃんの場合は老化現象ね。人
間で言えば九十歳程度よ。後、何年生きられるか解らないけれども、テニスはドクターストップね。通勤も辛ければ退職しなさ
いね。無理して通勤すると寿命が縮むわよ。大学には、病気の為、自宅療養すると言えば良いわよ。医師の診断書が必要だった
ら呼吸器障害の為に、加療が必要な事を書いてあげるからね。」と助言しました。
数年後、寝たきりになった成美は寿命を悟り、人工生命体の百足を呼び寄せ、ニシキヘビを蒲団の中に入れて、「私が育った宇
宙ステーションはまだあるの?」と確認しました。
モミジは、「人工生命体の種類や生命力については未知数だった為に、爆発させても何処かの惑星に辿り付いて、生き残りがい
ると都合が悪い為に、暫くの間は軍隊が徹底的に宇宙ステーションの中で生き残りがいないか捜索していましたが、私の担当で
はなかった為に、今はどうなっているのかは解らないわ。気になるようだったら確認してみるわよ。」と懐かしくて死ぬ前に一
度行ってみたいのかな?と感じました。
成美は、「私の生まれ育った場所なので、思い出が色々とあるのよ。私が死ねば、ニシキヘビと人工生命体の百足を一緒に宇宙
ステーションに連れて行って一緒に吹き飛ばして。」と言い残して老衰で亡くなりました。
成美は亡くなればキングコブラの姿に戻った為に、地球の知合いに知らせる事もできず、またニシキヘビや人工生命体の百足も
、成美の後を追うように亡くなった為に、渚の大型特別艦に、アヤメと陽子とフジコもテレジア星から駆け付け、葬式をして、
まだ健在だった宇宙ステーションに連れて行き、成美から宇宙空間で生きられる人工生命体はいないと聞いていた為に、成美の
希望通り、ニシキヘビと人工生命体の百足と成美を、成美の愛用していた机などと宇宙ステーションと一緒に吹き飛ばしました
。
渚が、「モミジさん、成美ちゃんと内緒話をしていたけれども、何の話をしていたの?」と気になっている様子でした。
モミジは、「時期がくれば教えるわ。」と意味ありげな返答をしました。
次回投稿予定日は、8月20日です。




