第二百九十章 人工生命体、生き延びる
フジコが、「女神ちゃん、一寸来て。」と呼んでアヤメに予防注射しました。
フジコは、「これで、ここにいる人には、あなたの猛毒は効かないわよ。諦めなさいヘビ女さん。」と警告しました。
渚は、「何、そのヘビって?」と不思議そうでした。
フジコは、「先程スキャンしたと言ったでしょう。少女はキングコブラに知能を持たせてテレジア星人のように形や色、大きさなどを変えられるようにしているようよ。」と説明してバリアで囲った部屋に閉じ込めました。
アヤメが、「一寸、少女の毒は今、私達には効かないのでしょう?だったら只の子供じゃない。そんな所に閉じ込めなくても良いじゃない。いくら格闘技が苦手でも子供には負けないでしょう?」とフジコの徹底ぶりに驚いている様子でした。
フジコは、「子供でも、相手はテレジア星人に対抗する為に生み出された人工生命体よ。油断大敵よ。」と忠告して軍に報告しました。
司令官は、「人工とはいえ、知能のある生命体を殺したくない。まして相手は子供だから、なおさら殺したくないですね。何とか助けたいと思いますが、問題は少女の持っている猛毒です。ヘビは地球の生物です。陽子さんと渚さんは地球の外科医でしたね。ヘビの外科医ではないですが、テレジア星には外科医もなく地球の生物には詳しくないです。陽子さん、渚さん、少女の猛毒を外科手術で摘出するか、またはその他の方法で無毒化できませんか?少女に猛毒がある以上、殺すか、動物園のような檻に一生閉じ込めるしかありません。」と確認しました。
陽子と渚も少女を殺したくなかった為に、「少し時間を下さい。」と返答しフジコに依頼して、陽子が大型探査艦で少女の体を調べている間に渚が地球へ行き、ヘビ、特にキングコブラの資料を集めていました。
マーガレットが、「渚!昆虫採取でもするつもり?今地球では誰かさんが取り逃がした人工生命体で大騒ぎなのよ。マスコミも、”宇宙怪獣現れる!”などと報道し、自衛隊や軍隊まで出動して大変なこの時期に何しているのよ!」と怒っていました。
渚は、「今その人工生命体の親玉を逮捕しました。知能もあるヘビ女で、人工生命体を操っています。彼女はキングコブラから作り出された人工生命体なので、猛毒を持っています。彼女を説得する一方で、外科的手術で猛毒を無毒化しようとしています。マーガレットは今まで刑事や探偵をしてタイムマシンでサボっていた為に、偶には頑張りなさいね。私は外科医として彼女を助けるから。」と説明しました。
マーガレットは、「知能があろうがなかろうが殺せば良いのよ。そのヘビ女が人工生命体を操って何人死んだと思うのよ!死刑よ!」と切れました。
渚は、「知能がある以上説得します。兎に角、猛毒を無毒化させるのは、テレジア軍の司令官からの命令よ。」と説明しました。
マーガレットは、「それだったら、そんなのは後にしなさいよ。こっちは今それ所じゃないのよ。」と渚の協力を依頼しました。
渚は、「親玉を説得できれば、人工生命体も大人しくなるわよ。」とヘビの資料を持ってフジコの大型探査艦に戻りました。
陽子と二人で色々と調べて陽子は、「キングコブラなんて言うから、他のコブラより毒が強いのかと思ったら、違うのね。一噛みで注入される毒の量が多い為に、噛まれると助からないとか象でも倒すと言われているのね。」と納得していました。
アヤメが、「陽子、講釈は良いから、結果どうなのだ?彼女の持っている猛毒は無毒化可能なのか?」と横道に逸れないように忠告しました。
陽子は、「そうね。難しいけれども不可能じゃないわね。」と難しい顔をしていました。
アヤメはイライラして、「ややこしい言い方をするな!できるのかできないのか?」と問い詰めました。
陽子は、「できるわ。猛毒を摘出しても、恐らく再び体の中で猛毒が作られると思います。猛毒製造機能を無機能化する必要がある為に、大掛かりな手術になります。しかし少女の生きる道はそれしかないので、手術を強行します。」と決断して各種設備が整っているフジコの大型探査艦でフジコやアヤメの協力で手術して成功しました。
少女は、「私を無毒化しても他の人工生命体は無毒化していないわよ。あいつらは、私の思うように動くのよ。」とまだ負けないと睨んでいました。
フジコは、「人工生命体の位置は私の艦で特定可能よ。全て退治するのは時間の問題ね。あなたを無毒化したのは、猛毒を持っていれば殺されるだけなので、何とか助けたいと思ったからよ。もうこんな事は辞めて。」と説得しました。
少女は、「殺さずに知能を持ったヘビとして動物園で見世物にでもするのか?」と反抗的でした。
陽子は、「あなたの体は改造されていますが、テレジア星か地球のどちらかの環境で生きていける筈よ。フジコさんの艦は、特定の場所の重力や大気などを、どちらの環境にする事も可能なので、どちらに住むか決めてね。そこで普通の子供として生活すれば良いわよ。」と説明しました。
少女が色々と考えていると司令官から、「テレジア星の人工生命体は全て退治した。警察や軍隊以外にコスモスが頑張ってくれて退治できたが、コスモスが、”人工生命体の対処方法が解ったので、地球へ行き対応する。”と地球へ向かった。どうやらこれが目的で人工生命体の退治に協力的だったようです。」と連絡がありました。
コスモスがマーガレットと協力して人工生命体を全て退治した頃に少女の心も決まり、「地球に住みたい。」と意思表示しました。
陽子は、「元々地球の生物なので、その方が良いかもしれませんね。渚、あなたマーガレットと同居しているのでしょう?暫くこの娘の様子も見る必要があるので、親戚の子供として同居してあげてね。」と依頼しました。
しかし、この時少女は、空飛ぶ百足の人工生命体一匹に、”体を丸く巻いてドラム缶の中に潜み脳波で位置を特定されないように睡眠しなさい。”と指示していた事は誰も知りませんでした。
最初はフジコ達も皆で地球へ行き、人工生命体を全て退治して家に帰っていたマーガレットの所へ行くとコスモスも来ていました。
フジコが、「この娘の戸籍を用意したので、一緒に住んで身の回りの面倒を見てやってね。小学校一年生として、この四月から小学校に通います。」と紹介しました。
マーガレットが、「誰が面倒を見るのよ。私も渚も仕事をしているのよ。」と指摘しました。
渚が、「名探偵は病気で死んだ事にして、明日から自由な女子大生としてマーガレットが面倒を見るのよ。」と説明しました。
マーガレットは、「渚には芹沢外科医院があるし、この娘は可愛いし、それが良いわね。お嬢ちゃん、可愛いわね。明日から仲良くしようね。」とこの少女を受け入れる事にしました。
渚は、「それでは、このお姉さんが面倒を見てくれますからね。怖いから言う事を聞かなければ殺されるわよ。」と少女にマーガレットを紹介しました。
マーガレットは、「何よ!それ!」と不満そうでした。
渚は、「マーガレットに面倒を見て貰う訳だから、はっきりと言っておくわね。この娘はマーガレットが殺そうとした人工生命体の親玉のヘビ女よ。無毒化しているので、毒については心配ないわよ。」と説明しました。
マーガレットは、「えっ?親玉って子供だったの?」と予想外の事実に目を丸くして驚いていました。
渚は、「だから私も最初は気付かなかったのよ。モミジさんとフジコさんが気付かなかったら、私はキングコブラの毒で死んでいたわ。」と返答しました。
モミジが、「宇宙ステーションで私が気絶している振りをしている時に、司令官から、”テレジア星人に対抗する為に、体の大きさや形を変えられる人工生命体かもしれないので、子供でも油断するな!”と忠告されていませんでしたか?司令官の忠告を無視したのですか?さすが司令官だけあって鋭いわね。私はそれで気付いたのよ。」と説明しました。
アヤメが、「説教はモミジらしくないわよ。その話はもう良いじゃないの。そうと決まれば、名前を決めないといけませんね。いつまでもヘビ女では都合が悪いでしょう。」と名前を考えていました。
フジコが、「だから、この娘の戸籍を用意したと言ったでしょう。名前は決まっているわよ。鈴木成美よ。」と説明しました。
話も決まったので陽子達はテレジア星に帰って行きました。テレジア星に着いたアヤメは、「あれっ?コスモスは?」と捜していました。
フジコが、「自分の子供の面倒ぐらい責任を持ってちゃんと見なさいよ。恐らく地球で何か悪戯しているわよ。マーガレットさんと渚さんに伝えた方が良いわよ。」と忠告しました。
アヤメから話を聞いたマーガレットは、「ったく、次から次へと厄介な問題を増やしてくれるわね。でもコスモスの悪戯はあくまでも悪戯でしょう?気にしなくても良いでしょう。以前の悪戯は、美人女優をエレベーターに失禁するまで閉じ込めた程度でしょう。今度は美人女優の食事に下剤でも混ぜて大きいほうを失禁するまで何処かに閉じ込める程度でしょう。笑って終わりよ。渚、医薬品、特に下剤の盗難に気を付けた方が良いわよ。」とコスモスの事は気にしていませんでした。
渚は、「下剤かどうかは別にして、放置しておく事についてはマーガレットさんと同意見です。何か困った事があれば泣きついて来るわよ。悪戯も、ゾンビの悪戯の時にお仕置きされたので、笑って済む程度の悪戯しかしないでしょう。酷い悪戯をすればアヤメさんに迎えに来て貰い、またお仕置きをして貰います。」と渚もコスモスの事は気にしていませんでした。
ヘビ女の成美も暫くは警戒し、百足の人工生命体を人里離れた山奥に隠して、復讐の機会を狙っていると、段々と地球も良いなと思い始めて、いつしか復讐する事を辞めて百足の人工生命体を布で覆い、空飛ぶじゅうたんのように見せかけていました。
次回投稿予定日は、8月9日です。




