まほうつかい(ボイスドラマ化進行中)
「あれ?これって……懐かしい」
何気なく開いたアルバム。久しぶりに見たその写真に、記憶が蘇る。
―×××××-
「みんなー!いっしょにあそぼう!!あ、ねぇねぇ、いっしょにあそばない?」
「…いい。」
「そっかぁ…。あそびたくなったらきてね」
「………」
「もういいかい?」
(もういいよー!!)
「よぉーし、みつけるぞー!!」
「…ひっく、グスン。」
「みぃつけた!って、あれ?さっきのこ」
「…」
「ねぇ、だいじょうぶ?どこかいたいの?」
「い、いたくない」
「じゃぁどうしてないてるの?」
「……おともだち、が」
「うん」
「みーちゃんのこと、おにごっこにいれてくれなくて」
「なんで?」
「みーちゃんは、あしがおそいから、つまんないって」
「わかった!ぼくたちとあそぼう!」
「へ?」
「おにごっこじゃなくてもいっぱいたのしいことあるよ!かくれんぼしよ?」
「かく、れんぼ……やだ」
「なんで?」
「みんな、みーちゃんがかくれてるとさきにかえっちゃうもん」
「ぼくがぜったいみつけるから、だいじょうぶ!ゆびきりっ!」
「……」
「はいっ、せーの!ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった♪」
「いいの?」
「いこ!」
「で、でも」
「ひとりでたのしい?」
「たのしくない」
「でしょ?みんなであそぼう」
「でも」
「だいじょうぶ!みんなぼくのおともだちだから、いじわるするこはいないよ」
「うー…」
「ねっ!!」
-×××××―
それが、私とあの子の出会い。
いじめられっこだった私には、あの笑顔が眩しすぎて、まともに顔が見られないくらいだった。
今思えば、あのとき既に私は、恋してたんだと思う。
―×××××―
「みーちゃんおはよう!」
「お、おはよう」
「今日はスカートはいてきたんだ」
「ママが、女の子なんだからかわいいおようふくきなさいって…またみんなにいじめられ」
「すごくかわいい!にあってる!!」
「うそつき」
「うそじゃない!かわいいよ!どうしていつもは男の子のおようふくを着てるの?」
「お兄ちゃんのおさがり」
「いいなぁ!お兄ちゃんがいるんだ!!」
「うん」
「だから男の子のおようふくも女の子のおようふくもきられるんだ!たのしいね!」
-×××××―
私がマイナスにしか捉えられなかったことを、プラスに変えてくれる、まほうつかい。
本当に大好きで、大好きで、大好きだった。
―×××××―
「みーちゃんおはよう!」
「みきちゃんっ」
「…ん、みき?」
―×××××―
あの子が私を呼んでくれる度に、ドキドキと一緒に私の心には虹がかかった。
「素敵な思い出をありがとう、―――君。」
写真を静かにアルバムに戻すと、微笑みが零れる。
“なにしてるの”と、君の声がする。
「懐かしい写真見つけたからさ、思い出に浸ってたの」
「うん。そうだよ、ちっちゃい頃の私たちの写真。ほら見て、懐かしいでしょ?」
アルバムを広げて君に見せると、あの日と同じ笑顔が、そこにあった。
「これからも、よろしくね」
私のまほうつかいさん。