開会式
話詰まってきてますん
開かれたドアの先には、まさに今人を監禁しているとは思えないほどに普通な空間が広がっていました。
「…で、拓海はどこにいるんですか?」
「こっちにあるよー」
奈緒さんに案内された所には、一つの部屋があり、そのドアには『たくみのおへや』と書かれているドアプレートが掛かっていました。
「ここがたくみのおへやだよー」
ああ、やっと会えるんですね…この日をどれだけ待ちわびたでしょうか…早く、早く会いたいです…
「じゃあはいるよー」
ガチャリ、とドアを開けると、そこには先ほどのなんとも普通な空間とは真逆の、とても異常な空間が広がっていました、一見殺風景に見える部屋の真ん中にいかにも手作りのような木造の檻がありました。
そして、私が会いたかった人はその檻の中にいました。
しかし、その目に光はなく、首に鎖をつけられ、周りに動物用ご飯の入れ物やトイレなどがあることから、どのような扱いを受けていたのかがわかります。
「…京子?なんでここに…」
「…助けに来ましたよ、少し待っててくださいね、拓海」
拓海は前よりもやつれていて、声に力はありませんでした。
「あれー?たすけたいならわたしをどうにかしちゃえばいいんじゃないかなー?」
「いえ、そんなことをする気はありませんよ」
「んー?なんで?」
「あなたが何か凶器を持ってないと言う確証もありませんし、何よりもあなたにはどんな勝負においても負けたくはありません」
「ふーん、まあいいや、じゃあたくみがわたしのものだってことをわからせてあげる」
「…勝負ってなんのことなんだ?」
「わたしと奈緒さんで、どちらが拓海の隣にふさわしいかの勝負です。まだその勝負の内容は聞いてはいませんが…」
「ふふふ、よくぞきいてくれました、じゃあきねんすべきさいしょのしょうぶは〜〜〜!!!」
『あいするひとのためならどんないたみにもたえられるよねげーーーーーーーーむ!!!』
「...そうですか、ではそのゲームの詳しい内容を教えてくれますか?」
「あれれ?いがいにはんのううすいんだね、げーむのなまえきいてだいたい
どんなことをするかわかるんじゃないかな?」
「...京子、俺のことはどうでもいいから早く逃げろ、こいつのやろうとしていることは絶対にろくなことじゃない...俺はお前の傷つく所なんか見たくない、だから早く逃げてくれ...」
「いえ、大丈夫ですよ、さっさとこの頭お花畑さんに勝って、すぐに助けますから」
「じゃあ、べつのへやによういしてるから、いどうしようか、じゃあまたね、たくみ」
「さっさと終わらせたいので、早く連れて行ってください」
奈緒さんと一緒に別部屋に移動しようするわたしに、拓海は俺の事はいいからと引き留めますが、私ももう後には引けません。
「待っててくださいね、拓海」
と、最後に一言だけ伝え、部屋を出ました。
…どんな狂気的な事だったとしても、わたしは負ける気がしません。
期待しないで待っててください




