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第1話 重い気分と足取り

如月シオンです!

なんていうか三作品目!

不定期更新になります!遅いかも…


好評だったら続けてみようと思います!感想レビュー等ください!

今朝方、祖母が亡くなった。

もっと言えば、亡くなったのは深夜。朝、母が様子を見に行ったら既に冷たくなっていた。

自宅での死亡であったから警察が来て、父は警察にあれやこれや説明をしていて、母は泣いていた。

母は俺が起きる1時間前に二階にある4人分の布団が敷いてある寝室に入ってきて何か言っていた。微睡んでいた俺は状況が分からなかった。母は潤いを含んだ震える声で「何も気にしないでね」やら「学校休む?」としつこく聞いてきた。

大方、朝っぱらから父と大喧嘩でもして、別れ話にでもなったのだろうと眠気を含んで適当に返事をした。

母が出て行った後、静かな寝室に姉がすすりなく声が聞こえた。怖い夢でも見てるのだろうか。

結局、姉の泣き声で眠れなかった俺はそこそこ冴えた頭で一階へと降りた。

ようやく異変に気付いた。警察がいる。一回にある祖母の部屋に集まって。

状況の分からない俺は、母に問うた。


「何があったの?」


「さっき言ったじゃん。おばあさん、もう亡くなっちゃったよ」


「は?」


重要な部分を話していた時に限って、俺はまだ夢の中だったみたいだ。

姉が泣いてた理由も、母の意味不明な言動も

全て分かった。

俺が馬鹿であった事も。寝てる場合じゃなかった。

祖母は既に白く、丸く固まっていた。

人生で初めて、人の死を目の当たりにした。

けれど、驚くほど綺麗な死に顔だった。

祖母を見た途端、母はまた涙を零した。


「気にせず、学校に行きなさいよね……」


「あぁ……」


何も言えなかった。涙も出なかった。

祖母の心の内を聞いたことがあるから。つい3日前から認知症が酷くなったのだが、その前に。祖母の世話をする時にいつも祖母と話をするのだ。その時に、俺は祖母の心の内を知った。

だから、涙が出なかった。もしくは、枯れてしまったのか。

とにかく、今日は学校に向かう事にしよう。

食事もそこそこに済ませ、制服に着替えた。コートも着て、あとはカバンを持ってドアを開けるだけ。

カバンを取るために自分の部屋に入る、自分の部屋の隣は祖母の部屋で、襖で区切られているのだが、今は完全に開いていて、警察がいる。

少々気が乗らないが、意を決して入った。

入ると視界の隅に、ビニールのようなものに包まれ、担架に乗せられている祖母の遺体が写った。後ろめたい気持ちになって、俺はそれをしっかりと確認出来なかった。

溢れ出る感情を歯で嚙み殺し、朝の惨状を後にした。


ーーーーー

ーーーーーーーーー


案の定、授業なんて手付かずだった。

気分も乗らず、受験の事も重なり、気が滅入るばかりだ。

中学3年の冬、俺「たちばな 優李ゆうり」は大変頭が痛い。

中1の時から学級・学年委員会などに就き、積極的に啓発活動に取り組み、中3の時には生徒会本部になった。生徒会に関しては推薦を断りきれずになってしまったのでやる気はなく、生徒会長に選ばれなかったのが不幸中の幸い。

それでも、人一倍、何なら会長や他の誰よりも真摯に仕事に取り組んだ。ボランティアにも参加した。

部活は強豪及び厳しいことで有名なサッカー部で、副キャプテンを務めた。何ならキャプテンよりキャプテンらしい事をしてた。あまりでしゃばりはしなかったが。

側から見たら進路も余裕で決まりそうな奴だが、残念な事に頭がすごい良いわけではない。かなり悪い訳でもない。

だが、いつも平均あたり。真ん中より上。

しかも、一番大切なテストで点数をむちゃくちゃに落とした俺は先生から進路を心配されるレベルに。

行ける高校もあるのだが、両親は家の近くにあり、伝統もある「一竜高校かずりゅうこうこう」に行く事を希望している。無論、私立高校への併願もしていない。

一竜高校をギリ行けるか行けないかぐらいの俺は、むちゃくちゃに崖っぷちである。

そう言われてから、俺はもう半ば人生を諦めている。

3年間の努力も、厳しい部活も、勉強も、無駄だったのだ。俺では。

「努力は報われる」なんてよく言ったもんだ。一番嫌いな言葉だ。

つまるところ、俺は落ちこぼれ。何もできない、雑魚だ。


「…はぁ」


自分で考えていて、ため息が出る。

うちの家系は強者揃いで変わり者揃いだ。


父は、学生時代に様々な実績を取得。某一流大学を余裕で合格し、大学が飽きたと言ってはアメリカへ留学した。

えげつない学歴を持つ彼は、ニートなのだ。

めんどくさいと言って働かない。生活が出来てるのは姉と母のおかげ。クズである。嫌いだ。


母は、スペインとフィリピンのハーフ。生まれて間もない頃には英語を含め3カ国語は喋れていた。その後日本に来て勉強。勘が鋭く、勘が外れた事はない。

だが、うるさい。仕事で魂をすり減らしてしまった彼女はため息だけで呼吸をしてるかの如くため息を吐き、空気が重くなる。イライラすると人に当たる。嫌いだ。


姉は、多分俺が落ちこぼれになった原因だろう。

両親の良いところをかっさらっていった彼女はいわば、天才。超絶美人で勉強運動何においても優秀な成績を収めた。将来を期待されていた。

その期待故に、彼女は壊れた。重い期待、部活の男子からも色々絡まれていた。元々病弱だった姉は体調を崩し、出席日数が足りず、一竜高校へ行けたものの定時制。

大学へは行かず、家のために働いている。


で、残りカスと共に搾り取られるように生まれたのが俺。

容姿は黙れば良い方だと言われるが、やかましいわ。


それでも、幸せだった。お互いが良い距離感を保ち、そこそこに良い関係を作っていたから、今は不幸ではなかった。

だが、受験と今朝の事が重なり、俺は今、最高に気分が最悪だ。


家へ帰る足取りも重かった。

第1話はこれで終わりです。

しばらくは会話が少ないかと思いますがご了承ください


では第2話で。

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