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天使は謳い、悪魔は嗤う  作者: 剣玉
第1章 大切なもの
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第7話 クラスメイト

ギリギリもう1話書けたぜ!



 

「さて、ではやりますか」


 リアムとアリサは図書館の裏に出ていた。空歩の修行はスペースを必要としないし、目をつけられたくないリアムが目立たない場所を選んだのだ。


「ではまずアリサさんは飛べますか?」


「急だね!?空歩と飛ぶのは別なの?」


「ええ、違いますよ。飛ぶのに必要なのは風魔法です」


 そう言うとリアムは自分の周りに風を起こす。ふわり、と足が浮いた。


「このように飛ぶには風で自分を浮かせばいいだけです」


「だけって……」


「それに対して空歩は」


 リアムはそう言うと、今度は空中に立った。


「このように魔力を固めて足場を作る事が必要になります」


「ふむふむ。どっちも出来ない」


「そうですか。ちなみにこの2つにはそれぞれ違う利点があります。飛ぶのはスピードがあるので移動に向いていて、小回りのきく空歩は戦闘に向いています」


 ちなみにリアムはそこら辺の魔法使いが飛ぶのより早く空歩で移動でき、そこら辺の魔法使いの空歩より器用に飛べる。


「それってどっちが難しいの?」


「ん〜空歩ですかね」


「私にもできるかな?」


「それはやってみないと分かりませんが、きっとできますよ」


 そう言ってリアムは笑った。



 〜〜〜〜〜



 次の日、リアムはまた退屈な授業を受けていた。昨日は結局アリサは何もできなく、落ち込んだ様子で別れた。リアムもうまく教えられなくてもどかしさを感じる。


 いつも通り授業を受け、いつも通り図書館へ行く。リアムはそう思っていたのだが今日は違った。


「ねぇねぇリアム君!リアム君ってなんでそんなに強いの?」


 放課後になるとクラスメイトがリアムの席に集まってきたのだ。この教室に来て既に3日。まさかこのタイミングで来るとは思わなかった。


「えっと、君は?」


「私はミラ。13歳よ」


 ミラと名乗る少女は活発そうな子だった。赤い髪をポニーテールにしている。可愛らしい顔をしており八重歯がチャームポイントだ。そしてかわいそうなほど胸が無かった。


「ねぇ、今私の胸を見てかわいそうとか思ったでしょ?」


 鋭い。


「え!?そっ、そんな事思ってませんよ!?」


「慌てすぎじゃない?……やっぱ男の子っておっぱいが好きなんだね」


「待って待って!確かに胸は無いかもしれませんが、だからと言って魅力がないわけじゃないでしょう?綺麗な髪だし可愛い顔をしてますし」


 リアムは慌ててフォローする。その言葉を聞くとミラは少し顔を赤らめ、


「そう?えへへ、そっかぁ可愛いかぁ」


 などと言ってくねくねしだした。


「なんだ?その年で既に遊び人か?」


 ミラがくねくねしだしたせいで、どうしたら良いか分からなくなったリアムに男が話しかける。


「俺はルーク。年はミラと同じ13だ」


 ルークは少しがっしりとした男だった。短い金髪をオールバックにしている。顔もとても男らしく、リアムが柔とすればルークは剛と言ったところか。


「よろしくお願いします」


「おう、リアムよ。年は俺の方が上だが同じクラスなんだ。敬語は無しでいこうぜ」


 ルークは男くさい笑みを浮かべてそう言った。そこにいつ復活したのかミラも割り込み、


「私も!敬語無しでお願いね!」


 と言った。それを受けてリアムも、


「分かった。これからよろしくな。ミラ、ルーク。」


 と言って笑った。


「それでさ、リアム君。話しを戻すけどなんでそんなに強いの?」


 軽い自己紹介を済ますとミラはさっきと同じ質問をする。


「そうそう。リアム強すぎだろ。昨日もあのエリック先生を瞬殺しちまうし。昨日の先生の落ち込みようは見てられなかったぜ」


「あ〜まずい事したか?」


「いや、ここは強さが全てだ。問題はねえよ。それどころかあの後ずっと先生が気落ちしてたおかげで皆早く帰れたんだ。このクラスの男子は全員お前に感謝してるぜ」


 そういってみんなの方を指差すと男子が揃ってリアムに親指を立てた。


「現金なやつらだな••••」


「もう、ルークは話を逸らさないで!それで、リアム君はなんでそんなに強いの?」


 またもやミラが尋ねてくる。よっぽど気になっているらしい。


「なんでって言われてもなぁ。やっぱり師匠のおかげかな」


「師匠がいるの!?なんかカッコいい!」


「なんでだよ……。まぁ俺がここに来たタイミングで別れたけどな」


「へぇ。その人に感謝してるんだ」


「急になんだよ」


「だって今、すごい優しい顔してるよ?」


 ミラの言う通り、リアムはスイの事を思い出す度に穏やかな顔になる。もちろん本人は気付いていないが。


「いやいや、結構無茶苦茶な人だったぞ?修行中に何回死にかけた事か……」


 だが修行の事を思い出すとその顔に陰が落ちる。ミラとルークもそれに気付くと、その言葉が誇張じゃ無いことが分かった。

 そこで話題を変えようとルークが口を開こうとすると、


「あ、リアム君!やっぱりまだここにいた!早く図書館に行こうよ!」


 扉からアリサが入ってきてリアムに声をかけた。そこでリアムはもう放課後になっている事を思い出す。


「あ〜悪いなミラ、ルーク。続きはまた明日って事で」


 リアムはそう言うと、アリサと共に妙にざわつく教室をあとにした。



 〜〜〜〜〜



「もう!もしかして私の事忘れてたの?」


 廊下に出ると、隣を歩くアリサが頰を膨らましながらそう言う。


「すいません。ここに来て初めてクラスメイトに話しかけられたもんですから、ちょっと嬉しくて」


 リアムは正直に言う。


 実際、リアムは今までスイ以外との人と話すことはほとんど無く、もちろん友達などいなかったから少し浮ついてしまったのだ。


「そっか、まだ来たばっかりだったもんね……。ごめんね?私の方こそ邪魔しちゃって」


 それを聞き、アリサが申し訳なさそうにする。リアムは少し慌てると、


「いえいえ、謝らないで下さい。俺も悪いんですから」


「そう?じゃ、おあいこだね」


 そう言ってアリサは可愛らしく笑った。そしてリアムは、いつかのようにその笑顔に見惚れてしまった。




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