幕間 ゼツボウヲシルモノ
あえてこのタイミングで投稿。
私は、生まれた時から神だった。
神として生まれ、神として生きる。それだけが唯一の生きる理由。
それは果たして生きる理由なのだろうか。そう考えたのは何億年前だろう。
きっと私は壊れている。失敗作だ。そう思おうとした。
だが、何度思い込もうとしてと思い込めなかった。私は正常だ。
正常だからこそ、私に生きる価値は無い。それに気付いたのは何億年前だろう。
それでも私は生き続けた。意味の無い使命を果たし、そして生き続けた。
それは何故だか分からない。いや、本当は分かっている。
ただ何も残せずに死ぬのが嫌なだけだ。生きた証を残せずに死ぬのが嫌なだけだ。
だから私は探し続けた。自分の生きる理由を。心当たりの無いそれを探し続けた。
ないものは見つからない。
私には何もない。ただ無だけが有る。
それでも、探し続けたらいつかきっと見つけられる。そう信じて何億年も探し続けた。
何度も死にゆく者達を視た。天使も、悪魔も、獣人も、人間も。別に何も感じなかった。
汚い欲望を抱く者を見た。天使も、悪魔も、獣人も、人間も。別に何も感じなかった。
ただただ絶望だけを感じていた。終わりのない終わり。いつ来るか分からないその終わりを、意味のない日々を過ごして待つことに。
世界を憎んだ。運命を憎んだ。親を憎んだ。
こんな事なら生まれなかった方が良かった。本気でそう思った。
それでも死ななかったのは私が弱いからなのだろうか。恐らくそうなんだろう。
世界を歩き、運命を歩いた。定められた何もない道を歩き続けた。
私は理由を求めた。自分が生きる理由を。
私は意味を求めた。自分が生きた意味を。
存在しないものを探し続けて、いつしか心は疲労する。
いつのことか、仮定しようとした。自分の理由と意味を。妄想の中だけでも満たされそうとした。
しかし仮定すら出来なかった。自分の理由と意味を想像する事さえ出来ない。
また絶望した。何度絶望すればいいのだろうか。
父の気持ちが少し分かった。全てを憎み狂った父の気持ちが。
でも、それは逃げだ。それは結局理由も意味もない、最悪の終焉だ。
どこに答えがあるかも分からない。
何億年も、地を歩き天を歩いた。世界の全てをこの目で視た。もうこの世界に存在する砂粒の数も覚えた。
なにもなかった。それでも探し続けた。そもそもそれ以外にする事がない。
絶望の中、なにもすることがないのに世界の掟に縛られる。神としてこの世界に縛りつけられている。
憎む。全てを。だが、だからと言ってなにか出来る訳ではない。
また絶望する。慣れ親しんだ絶望に絶望する。
今の私は本当に神なのだろうか。この世界で一番憐れな存在を、神と言うのだろうか。
全てを壊したい。
だが理由も無いまま死にたくない。
全てを終わらしたい。
だが意味も無いまま死にたくない。
そんな事を何億年も考え続けた。
私は何も持っていない。
その空っぽの器を満たすために彷徨い続ける。
それが私の唯一の日常だった。
だが、そんな日常はある日突然、終わりを迎えた。
"幕"の語り手は同一人物です。




