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天使は謳い、悪魔は嗤う  作者: 剣玉
第4章 復讐の先へ
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幕間 ゼツボウヲシルモノ

あえてこのタイミングで投稿。

 


 私は、生まれた時から神だった。



 神として生まれ、神として生きる。それだけが唯一の生きる理由。



 それは果たして生きる理由なのだろうか。そう考えたのは何億年前だろう。



 きっと私は壊れている。失敗作だ。そう思おうとした。



 だが、何度思い込もうとしてと思い込めなかった。私は正常だ。



 正常だからこそ、私に生きる価値は無い。それに気付いたのは何億年前だろう。



 それでも私は生き続けた。意味の無い使命を果たし、そして生き続けた。



 それは何故だか分からない。いや、本当は分かっている。



 ただ何も残せずに死ぬのが嫌なだけだ。生きた証を残せずに死ぬのが嫌なだけだ。



 だから私は探し続けた。自分の生きる理由を。心当たりの無いそれを探し続けた。



 ないものは見つからない。



 私には何もない。ただ無だけが有る。



 それでも、探し続けたらいつかきっと見つけられる。そう信じて何億年も探し続けた。



 何度も死にゆく者達を視た。天使も、悪魔も、獣人も、人間も。別に何も感じなかった。



 汚い欲望を抱く者を見た。天使も、悪魔も、獣人も、人間も。別に何も感じなかった。



 ただただ絶望だけを感じていた。終わりのない終わり。いつ来るか分からないその終わりを、意味のない日々を過ごして待つことに。



 世界を憎んだ。運命を憎んだ。()を憎んだ。



 こんな事なら生まれなかった方が良かった。本気でそう思った。



 それでも死ななかったのは私が弱いからなのだろうか。恐らくそうなんだろう。



 世界を歩き、運命を歩いた。定められた何もない道を歩き続けた。



 私は理由を求めた。自分が生きる理由を。



 私は意味を求めた。自分が生きた意味を。



 存在しないものを探し続けて、いつしか心は疲労する。



 いつのことか、仮定しようとした。自分の理由と意味を。妄想の中だけでも満たされそうとした。



 しかし仮定すら出来なかった。自分の理由と意味を想像する事さえ出来ない。



 また絶望した。何度絶望すればいいのだろうか。



 ()の気持ちが少し分かった。全てを憎み狂った()の気持ちが。



 でも、それは逃げだ。それは結局理由も意味もない、最悪の終焉だ。



 どこに答えがあるかも分からない。



 何億年も、地を歩き天を歩いた。世界の全てをこの目で視た。もうこの世界に存在する砂粒の数も覚えた。



 なにもなかった。それでも探し続けた。そもそもそれ以外にする事がない。



 絶望の中、なにもすることがないのに世界の掟に縛られる。神としてこの世界に縛りつけられている。



 憎む。全てを。だが、だからと言ってなにか出来る訳ではない。



 また絶望する。慣れ親しんだ絶望に絶望する。



 今の私は本当に神なのだろうか。この世界で一番憐れな存在を、神と言うのだろうか。



 全てを壊したい。



 だが理由も無いまま死にたくない。



 全てを終わらしたい。



 だが意味も無いまま死にたくない。



 そんな事を何億年も考え続けた。



 私は何も持っていない。



 その空っぽの器を満たすために彷徨い続ける。



 それが私の唯一の日常だった。



 だが、そんな日常はある日突然、終わりを迎えた。





"幕"の語り手は同一人物です。

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